メリノウールの下着を着よう!普段着からアウトドアまで万能のサステナブル素材
もし、普段着からアウトドアまで万能のインナー素材があったら、読者の皆さんは着てみたくありませんか?
意外にも、その答えは化学繊維ではなく、天然素材にありました。
ウールの最高峰素材「メリノウール」のインナーは、重ね着が重要な登山者や、屋外で過ごす時間が長い人のためのインナーとして知られています。
しかし、メリノウールは普段着でも活躍できる性能を持ち、サステナブル素材の一つでもあります。
この記事では、様々なシーンで使えるメリノウールの下着について、素材の特徴や比較・おすすめメーカーなどをご紹介します。
メリノウールの驚くべき特徴と性能
ウールは衣料品に幅広く使われますが、メリノウールは下着向けの特徴・性能を備えた高級天然素材です。
現代の科学技術で同等の品質を実現するのは難しいとも言われ、人間の身体にフィットする繊維は多くのファンに愛されています。
メリノウールとは「メリノ種の羊毛」のこと
ウールと名の付く通り、メリノウールは羊毛の一種であり、数ある羊毛の中でもとくに細かい繊維と伸縮性を持つ「メリノ種」の羊毛のことです。
ルーツはスペインにあり、国外持ち出しを禁止されるほど重宝されました。
18~19世紀になると世界各地に広まり、オーストラリア・南アフリカなどに持ち込まれました。
メーカーによって採用されるメリノウールは異なり、適切に飼育されたことを証明する「RWS(Responsible Wool Standard|レスポンシブル ウール スタンダード)」の認証を受けているものは、サステナブルの観点からも高い評価を受けます。
※「RWS」(Responsible Wool Standard|レスポンシブル ウール スタンダード)について
着続けても快適な状態を維持できる
メリノウール素材の下着を着ている人は、メリノウールを選ぶ理由として、以下のようなものをあげます。
・保温性
・通気性/吸湿性
・防臭/抗菌効果
・着心地/肌ざわり
ウールの繊維は、表皮・内部層の2重構造で、表皮はウロコ上のスケールでおおわれています。
スケールの特性として「水分を寄せ付けない」性質があることから、肌ざわりはサラリとしていて着心地が良いと感じます。
また、湿度が上昇するとスケールが開き、隙間から取り込んだ水分・つまり汗を内部層が吸収して、少しずつ蒸発させてくれます。
動物が快適性を保つメカニズムが活きているため、気化熱作用による冷却が急激に起こらず、汗冷えを防げるのです。
その一方で、ウールは「下着がチクチクして着られなくなる」・「洗濯すると縮んでしまう」ことがネックになっていました。
繊維が太いウールは、どうしても皮膚に違和感を与えてしまい、水分によって開いたスケールが絡まり合うと縮んでしまいます。
しかし、メリノウールは繊維が細いため、これらの弱点を克服しています。
メリノウールの下着が活躍するシーン
メリノウールの下着は、保温性・吸湿性・防臭性にすぐれていることから、着用すればアウトドアや仕事で快適に過ごせます。
また、重ね履きでオシャレを楽しむなど、寒い時期のコーディネートを考える際にも役立ちます。
キャンプ・登山
メリノウールに備わっている抗菌作用は、不快な臭いをシャットアウトしてくれます。
羊毛には雑菌が付着しにくい性質があることから、登山・キャンプなどで長時間同じ下着を着用せざるを得ないときでも、自分の汗の臭いなどが気になりにくいため重宝します。
また、アウトドアでは標高・天候の変化にともない気温が変わるため、メリノウールの調温性が体調管理に役立ちます。
寒暖の差が激しい場所で過ごす機会が多い人は、メリノウールの下着を選択肢に入れることをおすすめします。
屋外での作業
寒い中で作業する際、多くの人は良いアウターを揃えることに意識を向けがちですが、下着も快適な作業のためには大切な要素です。
外気温が低くても、身体を動かせば汗をかきますし、時間が経って仕事が落ち着くと今度は汗冷えで身体を冷やしてしまうリスクがあります。
メリノウールは、その保温機能と吸湿性によって、蒸れと汗冷えを軽減してくれます。
作業用のアウターはバッチリのはずなのに、どうも着心地が悪いと感じている人は、メリノウール製の下着が役立つかもしれません。
ファッション
デザインにもよりますが、メリノウール製の下着は他の素材のものと比べてこだわりの強いものが見つかるため、ファッションにも応用できます。
スカートの下にレギンスを履いて防寒対策をするなど、オシャレの自由度を高めるのに向いています。
ラウンドネックシャツのように、家で着て暖かく、外に出てコーディネートの邪魔をしないデザインのものもあります。
ズボンの下にロングタイツを履いて自転車に乗るなど、寒い日のお出かけも安心です。
メリノウールを他の素材と比較した際のメリット・デメリット
メリノウールという素材について知るには、他の素材と比較すると特徴が分かりやすくなります。
以下に、下着に使われる主な素材を比較してみましょう。
綿(コットン)とメリノウール
綿の下着は手に入りやすく価格も安いため、天然素材の下着を手軽に手に入れたい人は綿を選ぶでしょう。
実際、着心地は良いものが多いので、汗もしっかり吸収してくれます。
しかし、綿は乾きにくい特徴を持つため、汗冷えや臭いを感じる場面が多く、着続けて時間が経てば経つほど不快になります。
長時間の下着着用や、作業・運動用の下着としては、綿だと役不足になる可能性があります。
フリースとメリノウール
冬の防寒着に限って言えば、フリースは軽さと暖かさを備えた優秀な下着として重宝します。
アウトドアに使えるものもあるため、予算と実用性を比較した場合、フリースも良い選択肢に数えられます。
ただ、オールシーズンの着用には向いていないため、調温性を下着に求めるならメリノウールに軍配が上がります。
シルクとメリノウール
シルクもメリノウールと同じく動物性素材で、光沢が美しく、繊維が細くて肌ざわり抜群・夏涼しくて冬暖かい高級素材の一種です。
静電気が起こりにくい特徴を持っていて、保湿性も高い素材です。
しかし、太陽光による変色やシミのリスクが高く、型崩れ・色移りもしやすい繊細な素材です。
「下着の手入れは面倒だけど、高性能な下着が欲しい」という人は、メリノウールの方が便利です。
メリノウールのおすすめ下着ブランド
メリノウール製の下着を製造・販売しているブランドは数多く存在しますが、コスパや買いやすさの面で手が届かないケースも少なくありません。
そこで、普段着感覚でメリノウール製の下着を手に入れられる、おすすめの下着ブランドをご紹介します。
ワークマン
© WORKMAN CO.,LTD.
作業服・安全靴などの小売店として知られるワークマンは、近年になって一般客の獲得に力を入れています。
「#ワークマン女子」などのハッシュタグが流行るなど、既存の客層とは異なる層にアプローチをかけており、その一環として、一般客の肌着につき「メリノウールに特化する」方針を示しています。
靴下・シャツ・タイツ・ボクサーパンツ・帽子など、幅広いラインナップにメリノウール製品が登場しており、他の競合ブランドと比較しても格安の価格帯で提供されているのが魅力です。
プロ向け市場で機能性を重視してきたブランドだけに、着心地や暖かさは安心できるはずです。
競合したら負ける! インナーと靴下は「メリノウール」で勝負|ワークマン
モンベル
© mont-bell Co.,Ltd.
アウトドアを楽しむ機会が多い人にとって、馴染み深いブランドの一つがモンベルです。
モンベルが用意しているメリノウール下着は、やはりキャンプ・登山に特化したものが多いため、普段着として着用するには敷居が高いかもしれません。
しかし、厚みやストレッチ性のバランスが優れているため、着心地がよいのも事実。
外に出る機会が多い人なら、モンベルの下着を検討する価値はあります。
ラパサ
ASAS Japanのオリジナルブランドで、メリノウール100%で4,000円台という、アパレルブランドとしては高いコスパを実現しています。
メリノウールを試してみたいけど、まずは着心地を試してから本格的に下着を買い替えたいと考えている人は、一度ラパサに挑戦することをおすすめします。
メリノウールを選ぶことは、とってもサステナブル
世の中に出回っている衣類の繊維は、その多くが天然素材から科学技術によって生み出された合成繊維にシフトしました。
格安かつ機能的な合成繊維の下着は、天然素材に比べて数多くのメリットを持つ反面、地球環境に負荷をかけている一面もあります。
そのような中、消費者の「地球環境に配慮した製品」を選ぶ意識も高まってきています。
メリノウールもまた、機能性とサステナビリティを兼ね備えた素材として、多くの人に注目されています。
天然素材だから環境に優しい
丈夫で価格も安く着心地もよい、ポリエステル・アクリルといった合成繊維の衣類は、多くの消費者の心をつかみ広く普及しました。
一方で、ポリエステルなどの合成繊維は石油由来のため、ファストファッションに代表される大量生産・大量廃棄の流れの中で、大量の埋立ゴミを生んでいます。
どんなに性能がよい衣類であっても、いずれくたびれてしまったら、一度製品としての命を終えることになります。
しかし、埋立された合成繊維の多くは土に還らないため、地球環境・生態系の崩壊を助長します。
その点、メリノウールは天然素材のため生分解性があり、サステナブルな衣料・素材と言えます。
環境保護の観点からも、メリノウールの下着を選ぶことにはメリットがあるのです。
季節を限定しないから長く着続けられる
繊維の特性上、メリノウール製の下着は冬場を中心に着る下着のイメージが強いかもしれません。
しかし、登山のような気温変動が激しい環境でも着続けられるメリノウールの下着は、例えば高温多湿の夏でも身に付けやすいはずです。
長く着続けられる分だけ、下着の買い替えサイクルを延ばせて経済的です。
下着の廃棄量も少なくなりますから、廃棄物処理にかかる時間と労力を減らすことにも貢献できるでしょう。
日々のメンテナンスでも環境負荷を減らせる
メリノウール製の下着は、天然の防臭力によって長時間の着用でも不快感が少ない特長があります。
テレワークなどで室内にいて外出する機会が少なく、それほど気温が上昇しない冬場などは、下着の洗濯回数も少なく済ませられます。
その分、洗濯に使う水・洗剤・電気の使用量が減るため、毎日をエコに過ごせます。
一つひとつの小さなことが、サステナブルな社会の実現につながっているのです。
エシカルであること
メリノウールを素材として使用する多くのメーカーがエシカルな原材料の調達をしています。
そして多くの場合メリノウールは、エシカルな調達方法が実現されることが前提となっています。
記事冒頭でご紹介した「RWS」の一例「ミュールシング※」がその代表例です。動物愛護の観点から、羊に苦痛を与えるミュールシングをしない調達を徹底すると、その分余計にコストがかかることにもなります。
たとえそうでもミュールシングゼロのメリノウールを消費者に届けるというメーカーの使命が私達消費者に引き継がれ、消費者が素材を長く大切に使うことで、動物にも地球にも優しいアクションとなります。
サステナブルなシューズメーカーAllbirds。 Allbirdsのメリノウールの靴には「ミュールシング」を厳しく禁止している「ZQメリノ」が使われています。
またユニクロは、「ミュールシング」を行う農家からの調達の廃止に取り組んでいます。 エシカルな調達を実践しているユニクロのメリノウールなら安心できますね。
※ミュールシング(ミュールジングと表記されることもある)について
ウールは毛を刈り取るだけ?それは間違い|アニマルライツセンター
おわりに
メリノウールの下着は、保温性・吸湿性・着心地など様々な部分において優れているので、普段着・アウトドア・仕事など幅広い場面で活躍してくれます。
高性能な繊維であるだけに、お値段もそれなりのブランドは多いですが、ワークマンなど一般人にも手が届きやすい値段で提供されている製品も少なくありません。
リサイクル・環境保護の観点からも、天然素材であるメリノウールはサステナブルな繊維です。
下着はどうしても購入から廃棄までのサイクルが短くなりがちですが、メリノウール製は長く・大切に着られる下着ですから、ぜひ一度試してみて欲しいと思います。
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