サステナブルファッションとは?エシカルファッションとの違いや自分たちができることを解説
環境や人にやさしい取り組みはファッション業界で当たり前になりつつあり、サステナブルファッションという言葉が私たち消費者の耳に届く機会が増えました。
アパレルブランドの取り組みだけではなく、おしゃれを楽しみながらどのようなアクションができるのかを知るのが大切です。
見た目だけではなく、つくられる過程や素材にも興味がわき、ファッションの幅が広がりますよ。
サステナブルファッションとは?
まずはサステナブルファッションについてご紹介します。
ファストファッションからサステナブルファッションへの変革
大量生産・大量消費のファストファッションから、環境負荷を考え地球にも人にもやさしいサステナブルファッションへ移り変わっています。
環境省のアンケートによると、約6割の人がサステナブルファッションに関心があり、具体的な取り組みをおこなっていることがわかりました。
ファッション業界が変化をとげると同時に、私たち消費者の興味関心も高まっています。
ファッション業界が取り組む環境負荷低減のアクション
・サステナブル素材の使用
・適正な在庫管理
・リユース市場の活性化
・服の店頭回収
ファッション業界は生産過程における工夫だけではなく、すでに手元にある服をどのように活用できるのかまで視野を広げ、さまざまな取り組みをおこなっています。
なかでも注目のアクションは服の店頭回収です。
回収された不要な洋服のなかで着られるものは寄付・リユースされます。
一方、着られないものはリサイクルされ、再生素材や内装材へ生まれ変わりファッション業界以外でも活用されます。
エシカルファッションとの違い
エシカルファッションとサステナブルファッションは、人・環境・社会にやさしい取り組みでつくられる点が共通しているため混同されがちですが、視点が異なります。
エシカルとは「倫理的な」を意味する言葉です。
エシカルファッションは服の生産過程における、安全で整備された労働環境が重要視されています。
具体的には強制労働をおこなわない・農場や工場で働く人の権利が認められている・適正な賃金が支払われているなどです。
サステナブルファッションは、より俯瞰した・包括的な視点で持続可能な社会を目指します。
人権だけではなく、モノの循環を促す仕組みづくりやテクノロジーの開発など、ファッションを通じてさまざまな角度から課題解決を目指す言葉です。
本記事ではマクロ視点で物事を捉える「サステナブルファッション」に注目し、業界内の取り組みや私たちができることについてご紹介します。
参考:
決断迫られるファストリ、無印。ほぼ全ての日本人が新疆綿使う現実どう考える|Business Insider
エシカルファッションとは? 10の基準と上手に取り入れる7つの方法
サステナブルファッションを展開する有名ブランドの取り組み
サステナブルファッションを掲げる、有名ブランドの取り組みをみてみましょう。
ユニクロ|素材にこだわり「LifeWear」を実現
© UNIQLO CO., LTD.
ユニクロが掲げる「LifeWear」には、“服のチカラで、世界中のあらゆる人の生活を、より豊かにしたい”という思いが込められています。
独特な風合いを表現するために大量の水が必要だったジーンズづくりを、ブルーサイクルと呼ばれる新技術により99%削減に成功。
そのほか再生ポリエステルや、リサイクルナイロンを使った服づくりをおこなっています。
H&M|知ることから始めて行動につなげる
©H&M Hennes & Mauritz AB.
H&Mはサステナブルファッションに関する知識について、楽しみながら学べる特設サイト「Always Be Conscious」を開設しました。
“服を通じてサステナブルなアクションをとるにはまず知ることが大切”だと考え、イラストや写真を交えつつ、クイズやファッションコンテンツを掲載。
「サステナブル」という言葉に聞き馴染みがない方でもわかりやすい内容にまとめられています。
ZARA|サステナブルな洋服をみつけやすい工夫
© Inditex
ZARAの公式オンラインショップの項目のひとつ「JOIN LIFE」をチェックすると、ZARAのサステナブルな取り組みや商品にアクセスできます。
JOIN LIFEにはサステナブルなアイテムだけが掲載されているので、選んで購入するだけでサステナブルアクションの第一歩に。
サステナブルの知識があったとしても、いざ購入しようとすると何がサステナブルなのかひと目でわかりにくいことがありますよね。
ZARAではそんな私たちの迷いをなくすために、わかりやすく・みつけやすいサイト設計の工夫が施されています。
サステナブルファッションを知る私たちができること
サステナブルな取り組みをおこなうファッションブランドを選ぶのはもちろん、すでにクローゼットにある服への意識も大切です。
手持ちの服の取り扱い方ひとつで無駄にしてしまうか・活かせるかどうかが決まります。
素材にあわせた洗濯・ケアをおこなう
©(株)ワイズフリー
「数回洗濯したらいたんで使えなくなった」という経験はありませんか?
もしかしたら正しい洗濯方法やケアができていないからかもしれません。
洗濯表示マークをチェックすると、洗濯・乾燥・漂白・アイロン・クリーニングの仕方がわかります。
一見むずかしそうに思えますが、パターンがあるので覚えるのに苦労しませんよ。
ecolocoの洗濯表示マークの見方をチェックしながら、手持ちの服はどんな洗濯・ケアが適しているのか確認してみましょう。
洋服の再利用を考える
・親のシャツをもらい90年代ファッションを楽しむ
・古着ショップで購入する
・着られなくなった子ども服を友人へ譲る
これらはすべて服の再利用です。
使わない服を兄弟間で貸し借りしたり、友人にあげたりなど、必要とする人へ渡すだけでもサステナブルなアクションといえます。
着なくなった服を、フリーマーケットや不用品販売アプリ・サイトで売るのもおすすめです。
店舗回収サービスを利用・リサイクルする
店舗回収をおこなっているファッションブランドへ持ち込んだり、古着店でリサイクルしてもらったりすることも立派なサステナブルアクションです。
服1着がゴミとして廃棄・焼却されずリサイクルされると、約0.5kgのCO2削減につながるといわれています。
古着店やアパレルショップだけではなく、自治体によって資源ごみとして回収できることも。
回収方法を知っておけば、単に捨ててしまうのではなく「リサイクルしよう」という気づきが生まれるはずです。
サステナブルファッションの課題
サステナブルファッションが浸透してきたこと自体は、地球環境や人にとって大きな前進です。
しかしいくつかの課題があり、私たち消費者が「サステナブル」という言葉に惑わされている場合があります。
レンタルサービスは輸送による温室効果ガスの排出が懸念される
ブランド品のレンタルが気軽にできるシェアリングサービスがサステナブルなアクションとして広まっていますが、サービス利用者への配達・返送など輸送による温室効果ガスの排出が課題としてあげられます。
レンタルされた服はクリーニングされるため、家庭での洗濯と比べエネルギー消費が高いことも懸念点のひとつ。
消費者にとって、“サステナブルとは何か?”の理解が必要です。
参考:
ファッションのレンタルサービスって、本当にサステナブル?|elle.com
また、知っておくと便利な概念として、商品やどれだけサステナブルかどうかを客観的に表す指標の一つ、LCA (Life Cycle Assessment、ライフサイクル・アセスメント)があります。
LCAは、製品のライフサイクルにおける、投入資源、環境負荷や、それらによる地球や生態系への環境影響を定量的に評価する方法です。ひとつの商品の製造のための原材料調達、生産、流通、使用、廃棄にいたるまでの製品ライフサイクルにおけるCO2排出量が定量的に算出され、商品の生涯を通じたサステナビリティが測られるものです。
一つの商品、ひとつのサービスが成立するためのすべての過程においてサステナブルであるかを考えてみましょう。
LCAの概要|SuMPO(一社 サステナブル経営推進機構)
企業戦略として「サステナブルファッション」を濫用している場合も
ファッション業界で「サステナブルファッション」が浸透している現在、企業戦略として言葉を使い、単に聞こえのいい言葉を並べているだけの場合もないわけではありません。
そもそもサステナブルファッションという言葉は、第三者による認定がないため定義があいまいです。
なぜ環境負荷が軽減されているのか、従来と比べてどのようなメリットがあるのかなど、サステナブルファッションについて理解を深め、私たち消費者自身で見極めるのが大切です。
参考:
空虚な〈サステナビリティ〉、あるいはファッション業界の無責任|i-D
まとめ
サステナブルファッションについて理解を深めたい方は、環境省のページだけではなく、各アパレルブランドが展開するページもみてみましょう。
サステナブルな服を購入するだけではなく、リユースやリサイクルを通じて手持ちの服を活用する方法にもチャレンジしてくださいね。
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