SDGsの取り組み企業は環境に優しいだけ?商品や雇用にもこだわった事例を紹介
SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を頻繁に耳にするようになりました。最近は、ニュース番組だけでなく、CMや製品パッケージにもSDGsという言葉をみかけます。
今回は、私たちの生活により密着しているSDGsに取り組む「取り組み企業」についてお話しします。
企業がSDGsに取り組むメリット
SDGsは、地球規模で地球の未来を考えるために作られた17個の目標です。一見、利益を追求する企業とは関係がないように感じます。しかし、最近はSDGsに取り組む取り組み企業が急増しています。
実は、SDGsに取り組むことで、企業にとって大きなメリットがあるのです。
企業が生き残りやすくなる
これからの企業は「環境」について考えなければ生き残りは難しくなるでしょう。
なぜならば、今は日本だけでなく世界中が「環境」について考え、環境に悪いことをしている企業には厳しい目を向けているからです。
消費者の環境に対する知識や関心が高まれば高まるほど、消費者は環境にやさしい企業を選ぶようになります。そしてこれからは、環境に良くないことをしている企業への取り締まりは、より厳しくなる可能性が高いのではないでしょうか。
SDGsに早くから取り組むことは、環境だけでなく企業自身が生き残るためにも必要なことなのかもしれません。
企業のイメージがよくなる
氷河が溶けて行き場を失ったホッキョクグマや温暖化による山火事の映像は、多くの人に衝撃を与えています。
IPCCの報告書第6次評価報告書 第1業部会(WG1)報告書 気候変動 2021:自然科学的根拠 政策決定者向け要約(SPM)暫定訳(2021年9月1日版)では、それらの原因が人間の活動にあると発表されました。
プラスチック製品や温室効果ガスをたくさん排出する製品を使うとき、心がチクリと痛む人も増えたのではないでしょうか。
最近、バイオマスプラスチック、エコマークなど「環境にやさしそうな製品」が増えています。心がチクリと痛んだ人も「環境によさそうな製品」を選ぶだけで、心が少し軽くなるかもしれません。心を少しでも楽にしてくれる製品を作っている企業は、やはり好感度は高くなり、企業イメージはあがります。
ただ、注意すべきこともあります。「グリーンウォッシュ」という言葉を聞いたことはありますか?
グリーンは「環境にいいイメージ」を意味し、ウォッシュは「だまし」を意味しています。つまり、表面上は環境にいいように見せかけて、実際は違うという意味です。
消費者は、耳に心地よいコピーやパッケージに惑わされず、本当にSDGsに取り組んでいる企業を見抜くことが大切です。
社員のモチベーションがあがる
自分の会社が利益追求だけでなく、環境問題や社会問題について取り組んでいれば、社員は自分の会社を誇らしく思います。
そして、今までとは違った「SDGs」という世界共通の目標に自分も社員として加わることは社会人としてのモチベーションもあがるのではないでしょうか。
プラスアルファがある取り組みをしているSDGs取り組み企業3選
多くの企業は、環境にやさしいパッケージや発展途上国への寄付や支援を行っています。ここからは、SDGs取り組み企業の中から、一般的な取り組み加えて「プラスアルファ」がある企業を3社紹介します。
雇用も守る! 湯気しか出ない水素エンジン「トヨタ自動車」
©2020 TOYOTA MOTOR CORPORATION
自動車は、温室効果ガスや天然資源など環境問題と深く関係があるものです。そこで考え出された自動車が電気自動車です。電気自動車は、ガソリンの使用料もグッと減り、温室効果ガスの問題も解決する画期的な自動車です。
トヨタ自動車は、日本が世界に誇る自動車のトップメーカーです。もちろん、環境のことを考えれば、すべての自動車を電気自動車にすればいいのかもしれません。しかし、トヨタ自動車にはたくさんの従業員がいます。
すべての自動車を電気自動車に変えれば、多くの人たちが仕事を失うといわれているのです。
そこでトヨタ自動車は、エンジンを残しながらも環境に優しい水素エンジンを前面に出しました。テレビコマーシャルの「湯気しか出ないH2エンジン」という言葉に驚いた人も多いのではないでしょうか。
水素エンジンならば、今までと変わらずエンジンが必要なため雇用を守ることができます。
さらに今までの自動車のようにエンジンの音(排気音)が出ます。電気自動車は、音が静かすぎて近くまで車が来ても気がつかないというデメリットがありました。水素エンジンは、環境にも働く人にも歩行者にもやさしいプラスアルファがあります。
つながりを感じる! 学生との共同開発「スノーピーク」
©SnowPeak,Inc
SDGsの目標17は「パートナーシップで目標を達成しよう」です。企業の多くは、企業独自でSDGsに取り組んでいます。
アウトドアグッズのスノーピークは、関西学院大学と共同でマイボトルを開発しました。
見た目は普通のボトルですが、学生はこのボトルをキャンバス内のカフェに持って行けば無料でコーヒや紅茶を入れることができます。
さらに卒業後も修理が永久保証されるのです。自分の大学で開発したボトルには思い入れがあるでしょう。ただ単に「ペットボトルよりマイボトル」とアピールするよりも、人と人、大学と自分とのつながりを感じるボトルは「使い続けたい」というプラスアルファの思いが詰まっています。
スノーピークと包括連携協定を締結~自然と教育を融合した取り組みを本格始動|関西学院
「これがいい」より「これでいい」の商品「無印良品」
©Ryohin Keikaku Co., Ltd.
無印良品は、2002年に「これがいい」より「これでいい」の商品を目指すといっています(2002年無印良品からのメッセージ「無印良品の未来」より)。
今、SDGsで取り上げられている環境問題は、人々が「よりよい生活」を求め過ぎた結果といえるのではないでしょうか。「環境問題に対する取り組み」と考えると難しくなります。
「使い捨てがいい」より「繰り返し使うでいい」、「プラスチックがいい」より「紙でいい」と考えるだけで、十分に環境問題に取り組んでいることになります。
SDGsという言葉が生まれる前から「これでいい」をモットーにしていた無印良品は、余計なプラスアルファをなくすことで、プラスアルファの価値を生み出す企業なのかもしれません。
消費者がSDGs取り組み企業の製品を買うメリット
SDGs取り組み企業のメリットがあれば、消費者がSDGs取り組み企業の製品を買うメリットもあります。ここからは、SDGs取り組み企業が私たち消費者に与えるメリットをお話しします。
楽しみながら個人でSDGsに取り組むことができる
© MORINAGA & CO., LTD.
環境問題や貧困などSDGsで取り上げる目標はスケールが大きいです。大企業ならまだしも「個人が手に負える目標ではない」と思う人も多いのではないでしょうか。
SDGs取り組み企業は、消費者ひとり一人の小さな力を集めて大きな力にすることができます。
例えば、お菓子の森永製菓は「未来をかえるお菓子」のアイデアを募集しています。子どもと一緒に未来のお菓子を考えることは、楽しみながらSDGsに取り組むきっかけになります。
最先端の技術を知ることができる
SDGs取り組み企業は、SDGsの目標達成にむけて最先端の技術を使っています。
プラスチックと見た目もほとんど変わらないバイオマスプラスチックのレジ袋を手にしたときには驚きました。「なぜトウモロコシからプラスチックが作れるのか」という素朴な疑問がきっかけで最先端の技術を知ることもあります。
自分の視野を広げることができる
SDGsのターゲットは、老若男女そして世界から地球規模です。自分の日々の生活で精いっぱいでも、SDGs取り組み企業の製品を買うだけで発展途上国に寄付をしたり、温室効果ガスを削減したり、間接的にSDGsに取り組んでいることになります。
「自分の日々の生活は自分だけで完結している」と思っていた人でも、SDGsに取り組む企業の活動を知ることで「自分の生活が世界や地球とつながっている」と視野を広げることができるのではないでしょうか。
おわりに
SDGsの取り組みは、続けること「持続可能なこと」が大切なポイントです。人は楽しく興味がもてることは続けられます。
自分が興味をそそられる楽しい取り組みをしている企業をみつけてSDGsに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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