食品ロス世界ランキングで見る日本の順位はアジアでワースト?個人でできる対策とは
農林水産省によると、主要国で見ると日本は少なくないながらも、他の国と比べると多くは食品ロスを排出していません。
しかし国民1人当たりが排出する食品ロスは多く、毎日お茶碗1杯分の食品を捨てている計算になります。
ではどうして日本ではここまで多くの食品ロスが発生してしまうのでしょうか?
今回は、今世界と日本がおかれている食品ロスの現状、私たちが個人単位で取り組める食品ロス対策について詳しく解説していきます。
食品ロス世界ランキングで日本はアジアワースト
食品ロスの発生量別に主要国(日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、韓国、中国)で見ると、国別では人口が多い中国が最多の103Mtと最も多く、2位はアメリカ56.4Mt、3位が日本の17Mtで、オランダが最も少ない2.52〜3.73Mtでした。
しかし1人当たりで見ると、オランダが149.9〜222.9kgと最多で、2位がフランス148.7〜200.5kg、3位はイギリス187kg、そして最も食品ロスが少なかったのは中国の75.74kgでした。
日本では1人当たりの食品ロス発生量は133.6kgと、中国や韓国よりも多く、アジアでワースト1位という量です。
日本の食品ロスの多さをわかりやすく換算すると、毎日お茶碗1杯の食料を日本人1人が捨てているということになります。
食品ロスは世界的な問題となっており、日本では「食品ロス削減推進法」や「食品リサイクル法」という2つの法律を制定して、食品ロス削減に取り組んでいます。
では、日本は世界的に見てどのくらいの食品ロス排出量があるのでしょうか?
また、なぜ日本では食品ロスが発生するのでしょうか?
ここからは、世界的に見た日本の食品ロスの現状について詳しく解説していきます。
食品ロスの現状を知る|農林水産省
日本の「フードロス」は世界で何位?|TABI LABO
日本の食品ロスへの取り組み
日本では食品ロスに対する法整備として「食品ロス削減推進法」や「食品リサイクル法」という2つの法律を制定していますが、食品ロスの発生率が高い中国やアメリカなどの主要国では、食品ロス対策としてより具体的な法整備や対策が行われています。
例えば食品ロスが主要国で最も多い中国では、「反食品浪費法」という食べ残しを禁止する法律が2021年4月に施行されており、アメリカでは法整備ではありませんが「スープキッチン」と呼ばれる、住居の無い方を対象に食品を無料で分ける取り組みが生活に定着したかたちで行われています。
日本では具体的な対策がないまま、食品ロス問題が世界的に見てトップクラスの問題となっていますが、ではなぜ日本ではこれほどまで多くの食品ロスが発生してしまうのでしょうか?
なぜ日本で食品ロスが発生するのか
食べられるのに破棄されてしまうことを示す「食品ロス」、流通段階で廃棄する場合は「事業系食品ロス」や「家庭系食品ロス」といった呼ばれ方をしています。
海外では言葉の解釈も若干異なります。例えば日本語の「フードロス」と英語の「Food Loss」では意味する内容が少し違うなどです。それぞれの概念は以下の図にまとめられています。
©「日本もったいない食品センター」 食品ロスとフードロス
農林水産省によると、その中でも平成30年度では日本の食品ロス全体で600万トンのうち、事業系食品ロスが324万トン、家庭系食品ロスが276万トン。
多くの人たちに食品を提供する事業系食品ロスの方が、家庭で排出される家庭系食品ロスと比べると多いですが、事業系食品ロスと家庭系食品ロスはそこまで大きな差がありません。
なぜ日本で600万トンもの食品ロスが発生するのかというと、その多くが「賞味期限切れ」による直接廃棄です。
日本では店頭および家庭でも食味期限が切れた食品は、食べられることなくそのまま処分されます。
特に日本人は食品への衛生意識が世界的に見て高い傾向があるので、1日でも賞味期限が切れると廃棄することが多くあります。
食品ロス量(平成30年度推移値)の公表|農林水産省
食品ロスの世界ランキングをチェック。日本の順位やロス削減対策は?|Hufkum
なぜここまで食品ロスは世界的な問題になっているのか
食品ロスが世界的に問題になっている理由は、2つあります。
- 生ゴミの量が増えることでゴミの収集運搬・焼却時にCO2が多く排出される
- 貧困問題を抱える国では食べ物が満足に食べられない人が多く居る現実
特に2番については、私たちが想像しているより残酷な現実が今、世界の問題として立ちはだかっています。
日本は多くの国からたくさんの食料を輸入していますが、その輸入元となる開発途上の国では、食糧不足で飢餓に苦しむ人たちが多く存在しています。
日本など輸出国のお腹や美食への欲求を満たすために、輸入元である農業従事者の方々が飢餓に苦しんでいるのは、いまいちイメージしにくいところがあるかもしれません。
「輸出ができるくらい多くの食料を収穫できるのに、どうして飢餓に苦しむの?」
それは、開発途上国が抱える問題の一つに、技術不足があるからです。
技術不足によって整った環境で保管できないなどして、収穫した食材が腐敗してしまうため、市場に出回る前に廃棄しなければいけなくなってしまうため、自分たちが食べる分まで食料を確保できないという現実が問題となっています。
私たちが個人単位でできる食品ロス対策
日本での食品ロスは、主に食べられるところまで除去してしまう「過剰除去」、そして先程ご説明した「賞味期限切れ」「食べ残し」の3つで発生します。
特に家庭で発生する家庭系食品ロスでは上記3つの発生が多く、家庭単位で意識することで、多くの食品ロスを未然に防ぐことができます。
その意識を変える方法は、主に以下の4つの方法があります。
1. 食べ切れる量の食品を購入する
2. 作り置きは冷凍保存をする
3. ローリングストックを行う
4. コンポストで生ゴミを堆肥化する
事業系食品ロスについては、飲食店や小売業は企業単位で食品ロスに取り組んでいるので、私たちの日常生活で発生する家庭系食品ロスも、意識を変えて取り組むことで多くの食品ロスを防ぐことができます。
まとめ
食品ロスを主要国別に見ると、最も食品ロスが多い国は中国で、日本は3番目に多く17Mt、国民1人に換算すると1人当たり133.6kgで、中国よりも多く、アジアでワーストNo.1です。
その量をわかりやすく説明すると、私たちは毎日お茶碗1杯分の食品を捨てているということになります。
日本は国民ひとりひとりの衛生意識が高く、1日でも賞味期限が切れると食品を開封することなく直接廃棄しているという背景があります。
食品ロスは家庭系食品ロスと事業系食品ロスに分けられますが、その中でも家庭系食品ロスは全体の約半分もの食品ロス発生率になっています。
そのため私たちひとりひとりの意識を変えて、ローリングストックや冷凍保存など家庭から食品ロス対策に取り組むことで、多くの食品ロスの発生を防ぐことができます。
この記事へのコメントはありません。