サステナブルな素材とは?環境にやさしい持続可能な新時代の生地を紹介

オーガニックコットンと衣類

ファンションブランドのプレスリリース・インスタグラムのファッション系アカウントで使われるハッシュタグなどで、サステナブル(サスティナブル)という単語をよく見かけるようになりました。
しかし、サステナブルな服とはどういうものなのか・素材にはどのような種類があるのか、あまり詳しく知らない方もいると思います。

サステナブルファッションを実現できる素材は数多くの種類があり、ファッションの観点から魅力的な商品もたくさん見つかります。
この記事では、そんな「サステナブルな素材」にフォーカスして、新時代の素材も含めご紹介します。

ファッション業界で話題になっている「サステナブル素材」とは

オーガニックコットンバッグ
もともと、サステナブルという単語は、英語で「sustainable」とつづります。
サステナブル素材とは、直訳すると「持続可能な素材」という意味で、自然環境や人権などに配慮している、総じて環境負荷の少ない素材のことをいいます。

従来のファッション業界のビジネスモデルが抱える大きな問題点として、大量生産・大量廃棄という問題があげられます。
これは、最新の流行を取り入れつつ価格を安くしたアイテムを、短いサイクルでたくさん売り出すブランド・業態が増加したことに一因があります。
こうしたブランド・業態は、人気のある流行りの服をすぐに・安く手に入れられることから、ファストファッションと呼ばれることもあります。

そうしたビジネスモデルの場合、消費者としてはお手ごろ価格でファッションを楽しめるメリットがある反面、その陰で、衣料作りを行っている国の工場で働くスタッフに多大な負担が強いられてしまうという場合もあります。十分な設備投資や環境対策がなされていない工場での製造の場合には、衣類の染色の過程で汚染された水がそのまま水路・川に流されることで、深刻な水質汚染につながっている国も少なくありません。
また、製造後も、流行期間や販売時の気象条件(著しい暖冬など)によっては、多くの売れ残った服が、最終的には焼却・埋め立て処分されるわけですが、その数量は毎秒トラック1台分ともいわれています。(*1)

ファッション全体のサステナビリティについて、わかりやすいイラストで説明されているのが、環境省「サステナブルファッション」のページです。このページでは、日本では「年間で約48万トン、大型トラック約130台分(換算)を毎日焼却・埋め立て」していると紹介されています。

こうした問題を解消するため、アパレル業界では「服づくりを将来にわたり持続できる」ようにするための方法を模索する動きが出てきました。その具体的な方法の一つが、環境に配慮した素材・リサイクル素材といった、ファッションを持続可能にできる素材を選ぶことなのです。

(*1) 大量の水の使用、そして85%はゴミに…ファッション業界は環境へ大きな影響を与えている(Business Insider Japan記事)

どんなサステナブル素材があるのか


一口にサステナブル素材といっても、探せばさまざまな種類が見つかります。
また、取り扱いのあるブランドもたくさんあって、どれを選べばよいのか迷うかもしれません。

続いては、そういった悩みにお応えするため、具体的なサステナブル素材の種類と、サステナブル素材を採用したブランド等をいくつかご紹介します。

オーガニックコットン

オーガニックコットンとは、以下の条件を満たした綿花のことです。(*2)

・オーガニック農産物等の生産方法についての基準に従っていること
・2~3年以上のオーガニック農産物等の生産の実践を経て、認証機関に認められた農地で栽培していること
・栽培に使われる農薬、肥料の厳格な基準を守って育てられていること

殺虫剤や除草剤を使わずに綿花を育てるため、栽培に関わる人の健康を害するおそれが少なく、土壌の改良にもつながります。
オーガニックコットンを利用していて名前を知られるブランドとしては、patagoniaやPeople Treeなどがあげられます。

パタゴニア
People Tree

(*2) オーガニックコットンとは||オーガニックコットンとは?通常のコットンと違う点や活用法も紹介

リサイクルポリエステル

リサイクルポリエステルとは、繊維製品・使用済みペットボトル・フィルムくずなどを原料として作られた、再生ポリエステルのことです。
選別・洗浄を経て、分子レベルまで分解された後、衣類に使用する繊維となります。

具体的なブランドとしては、GRS(グローバル・リサイクルド・スタンダード)の認証を受けたリサイクルポリエステルを使用しているECOALF、厳しい品質基準を設けているadidasなどが知られています。

ECOALFとは
アディダス リサイクルポリエステル サステナビリティ

リサイクル(ポリエステル)【三甲テキスタイル株式会社】

無水染色素材

従来の繊維製品の製造過程では、生地の汚れ落としから染色まで、多量の水を必要とします。
そのため、廃水の処理が不十分な工場等は、汚染水を自然環境に垂れ流して問題となっています。

そこで、水を使わずに染色を行う技術「無水染色」を用いて作られたのが、無水染色素材です。
染色技術は様々で、有名ブランドのNIKEは、2013年に水と化学物質を排出しない新しい染色技術「ColorDry」を発表しており、この技術を使ったテニス用ポロシャツも登場しています。

日本でも、生地商社であるデビス株式会社が、無水染色技術AIRDYEⓇを提案の軸とする動きを見せています。
少量多品種生産に水の使用量が少ないインクジェット印刷技術が用いられるなど、アパレルだけでなくニーズ減に悩む印刷業にもチャンスが増えるものと予想されますから、これからの成長・普及が楽しみな分野の一つです。

NIKE.com(JP)
Nike Tennis ColorDry Polo
AIRDYE®

<参考URL>
デビステキスタイル/サステイナブル 強く意識/無水染色やリサイクルで
ナイキ、水を使わない染色技術を採用
ナイキ、水を使わない染色「カラードライ」製品、来年初に発売予定
ナイキが水と化学物質を排出しない新染色技術「ColorDry」発表
商品(デビス株式会社)
アパレル業界の少量多品種生産を支える技術

新時代のサステナブル素材

屋外, 砂浜, 草, ごつごつした が含まれている画像

(c)伊藤忠商事RENU


時代が進むにつれて、サステナブル素材の調達方法・リサイクル方法も変化を続けています。
一例として、新時代のリサイクルポリエステル・RENUについてもご紹介します。

RENUとは、伊藤忠商事が提案するリサイクルポリエステルを用いた素材ブランドのことで、使い終わった古着・工場での生産時に出た残反(ざんたん・生地のこと)が、そのまま原料となります。
先にお伝えした通り、広く知られているリサイクルポリエステルは、主にペットボトルなどの素材を再利用する形で繊維が作られるため、服をそのまま服にリサイクルできる点で、よりサステナブルな試みといえます。

工場まで運搬された古着・残反は、粉砕→分解・再重合→チップ化という工程を経て、糸から生地、生地から製品となり、再び商品としてお店に並びます。
古着や残反を廃棄することなく、そこから新しい衣料を作るという生産システムは、非常に画期的なものです。

RENUプロジェクトによると、石油由来のポリエステルを使った場合に比べて、RENUの導入には以下のようなインパクト(地球規模のメリット)が期待できると説明されています。

・原材料として、Tシャツ換算1.5億枚分の廃棄物が投入できる
・自動車走行距離で換算して、地球1,670周分のCo2が削減できる
・500mlペットボトル6,500万本分の水が削減できる

将来的にRENUの生産システムが世界中に普及すれば、衣類の素材の素性について気にすることなく、誰もが衣類を選べる時代がやって来るかもしれません。

RENUブランドサイト
RENUのブローシャー

おわりに

サステナブルな素材に注目して衣類を選ぶことは、わたしたち個人という単位でも、かんたんにできる取り組みです。
有名ブランドもサステナブル素材を採用していることから、今後の生活の中で「素材を基準に服を選ぶ」ことが当たり前になるかもしれません。

本記事の参照サイト

サステナブル素材にはどんなものがある?サステナブルな洋服選びのポイント
深刻化するファッション業界のごみ問題:解決策の一端がここにある
サスティナブルの意味とは?
Putting the brakes on fast fashion(UN)

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