食品ロスの世界の現状を解説!主要国での比較や各国の取り組みを紹介

食品とお箸

食品ロスについて理解を深めるには、日本の現状と世界各国の現状を比較し、私たちの置かれた状況により適したアクションをみつけるのが大切です。

日本と同じように、各国では食品ロス問題に対するさまざまな取り組みがおこなわれています。

世界の課題として取り上げられる食品ロスについて、どれほど深刻化しているのか、海外ではどのような策が講じられているのかについてご紹介します。

世界では毎年約13億トンもの食品がロスしている

世界で何が起こっているのかを知ると日本の現状と比較ができ、食品ロス問題に取り組むべき理由や世界規模の重要課題であることに気づきます。

世界の現状と課題について探ってみましょう。

世界の食品廃棄物の主要国比較

先進国航空写真
世界の食品廃棄量は年間13億トンもあり、人によって消費される食料全体の約3分の1にあたります。
なかでも食品ロスや廃棄量が多い地域は、先進国であるヨーロッパや北アメリカ・オセアニア、アジアの一部であり、開発途上国とくらべて消費段階でのロス・廃棄量が多いです。

主要国で食品廃棄量を比較すると、人口が多い中国が多く次にアメリカ、3位に日本が並びます。
日本の食品廃棄量は世界でもトップクラスであり、早急に対策する必要がある状況です。

世界の食料ロスと食料廃棄|国際農林業協働協会(2011年時点)
食品ロスの現状を知る|農林水産省

世界の9人に1人が食糧不足で苦しんでいる現状

開発途上国
膨大な食品が捨てられている一方、世界の9人に1人が食糧不足で苦しみ、食品ロスと飢餓問題は切っても切れない重要課題として認識されています。

食べ物が足りているにもかかわらず必要な人に届けられない理由はさまざまあり、飢餓で苦しむのは開発途上国に住む人がほとんど。
十分な収入を得られず食べ物を買うお金がなかったり、必要な食料を調達できない環境だったりなど、食品にまつわる課題が山積みです。

世界人口が増え続ける現在、2050年には約97億人に到達するといわれ、人口増加とともに食品ロスや飢餓問題の解決が急がれています。

国際連合広報センター|飢餓をゼロに
食品ロスの現状を知る|農林水産省
食品ロス削減関係参考資料|消費者庁

開発途上国での食品ロスが生まれる

飢餓で苦しむ子どもが多い国と地域では、食品ロスが発生しないように思えますが、実は開発途上国でも食品ロスが発生しています。

なぜなら収獲した食料を適切に保存・輸送する仕組みが整っておらず腐らせてしまったり、技術不足によりせっかく実った作物を収獲できなかったりなど、あらゆるハードルがあるからです。

食品ロス対策の世界での取り組み

食品ロス削減のために世界ではどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか?
これからご紹介する3つの取り組みは、どれも日本では聞きなれないものばかり。

世界で成功している取り組みをうまく真似できると、日本でも食品ロス削減の大きな一歩につながります。

中国|食べ残しを禁止する法律「反食品浪費法」

中国料理イメージ
2021年4月、中国にて食べ残しを禁止とする法律「反食品浪費法」が可決されました。
法律の内容は「大食い」をテーマにした動画や番組を制作、公開すれば最高10万元(約170万円)、客に食べきれない注文を促した飲食店には最高1万元の罰金を科すなど、食品ロス削減を推進するための罰則があります。

実は2008年8月、習近平国家主席が食べ物を浪費しないよう国民に呼びかけたことをきっかけに反食品浪費法が制定されています。
中国では食べきれない量の食事をもって客をもてなす習慣があり、ほかの国とくらべて多くの食品が捨てられている状況です。

反食品浪費法により必要以上に食べ物を提供する店が減り、販売する商品のサイズや浪費などの見直しがおこなわれています。

※参考:
食べ残しなど食品浪費禁じる法律可決 中国|日テレNEWS24
なぜ? 中国で「食べ残し」禁止令|NHK NEWS WEB

アメリカ|食品廃棄物の削減と貧困対策につながる「スープキッチン」

アメリカでは「スープキッチン」と呼ばれる、ホームレスの方たちへ食品を無料でわけ与える取り組みがおこなわれています。
日本でいう炊き出しと同じであり、食べられずに捨てられてしまう予定だった食品を必要とする人々へ届けられる仕組みです。

食品ロスを削減できるだけではなく、貧困世帯に食料を届けられる2つのメリットがあります。
※参考:

フランス|フードロス対策の事業モデルを確立「食料廃棄禁止法」

フランスのスーパー
フランスでは2025年までに食品廃棄物を50%削減するという目標を掲げ、目標達成の一環として2016年2月に「食品廃棄禁止法」が成立しました。
延べ床面積400㎡ 以上のスーパーに対して売れ残った食品を寄付する、食べられる食品を廃棄した場合は3750ユーロ(約49万円)の罰金などが設けられています。

食料廃棄禁止法の制定により食品ロス削減の意識が高まり、無駄をなくす動きは食品業界だけではなく、ほかの業界にも波及しているといわれています。
※参考:
捨てたら罰金 食品ロスを禁じたフランスの挑戦|The Asahi Shimbun GLOBE+

まとめ

日本では2019年に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が制定されたものの罰則がなく、事業者や国民の努力に委ねられている部分が大きいのが現状です。

世界では食べ物を粗末にしない意識をもつことに留まらず、個々が行動に移しています。
食品ロスについて理解を深めると、あなたが「利用したい」と思えるサービスに出会え、食品ロス削減のアクションを積極的にとれるようになりますよ。

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