アクリルたわしはエコ?メリットや疑問から使う時の注意点を詳しく説明

アクリルたわしづくり毛糸

アクリルたわしは、手作りできるかわいいたわしとして有名になりました。実は、アクリルたわしは、かわいいだけでなく地球環境にやさしいエコなたわしでもあります。
今回は、SDGsの観点からも魅力的なアクリルたわしのすべてをわかりやすく解説します。

アクリルたわしとは? 作り方ときれいに作るコツ

えこたわし

アクリルたわしとは

アクリルたわしは、エコたわしとも呼ばれる、アクリルの毛糸使って編まれたタワシです。編み物が苦手な人でも、短時間で完成させることができます。アクリルたわしは、洗剤がいらないたわしとしても注目されています。

アクリルたわしの作り方


アクリルたわしの作り方は、書籍やインターネットで公開されています。かわいい動物の形や果物の形もありますが、初心者の方は「ガーター編みの四角」が一番簡単です。

ガーター編みは「表編み(表目)」という編み方だけを覚えるだけです。ガーター編みは、厚みが出る編み方なのでアクリルたわしに適した編み方になります。

アクリルたわし:簡単なガーター編み【棒針編み初心者さん】編み図・字幕解説
©Crochet and Knitting Japan クロッシェジャパン

アクリルたわしをきれいに作るコツ

アクリルたわしをきれいに作るコツは、毛糸選びがポイントです。アクリルたわしを編む毛糸は、アクリル100%のものを使います。毛や綿などの天然繊維が混ざっていると吸水性があり、しばらく使っているとヌメリがでてきてしまいます。
アクリルたわし 毛糸の種類
アクリルには、アクリル系とアクリルがあります。

アクリル系はアクリルの原料であるポリアクリロニトリルを35~85%と塩化ビニルなどを含み、燃えにくく加工してある繊維です。防炎カーテンやエプロンに使われています。

アクリルは、ポリアクリロニトリルが85%以上の繊維です。アクリルたわしを作るときには、羊毛のようにふっくらとしたアクリルを選ぶ方が編みやすいでしょう。

最近は、外国製の毛糸も多くみかけますが、外国製の毛糸を使うときには注意が必要です。

アクリル毛糸の製造方法には、乾式紡糸と湿式紡糸の2種類があり、アクリルたわしのように水に濡らして使うときには、水で汚れが落ちる湿式紡糸で製造された糸が適しているためです。湿式紡糸で製造されたアクリル繊維は、表面に細かい溝ができ、細かい溝が汚れをかき出すのに適しています。

日本国内のメーカーは、すべて湿式紡糸で製造されていますが、外国製の中には乾式紡糸で製造されているものもあります。外国製のアクリル毛糸を使う時には、湿式紡糸であるかを確認するようにしましょう。

クリル繊維の特徴|アクリルの強度、耐熱温度、用途、特性、構造とメリットからデメリットまで
© toishi.info

アクリルの特徴を生かしたアクリルたわしのメリット

環境や財布にやさしい

アザラシ
アクリルたわしは、アクリルの特徴を利用して汚れを落とします。アクリルの特徴は「吸水性がない」「弾力がある」「縮みにくい」です。洗剤を使わなくても、アクリル繊維がもつ力だけで、ほとんどの汚れを落とすことができます。

洗剤を使わないことは、経済的なメリットだけでなく、環境へのメリットもあります。私たちの生活排水は、海洋汚染の原因の一つとなっています。
化学物質を含んだ生活排水を減らすことで海への影響を少しでも減らすことができるでしょう。

プラスチックの廃棄・破棄を減らす

セーター アクリルたわし
洗剤の使用料が減れば、パッケージに使われるプラスチックの使用量も減ります。

また、アクリルたわしは、新品のアクリル毛糸で作るのではなく、着古したアクリルのセーターをリサイクルして作ることができます。古くなったり、年代や流行にあわなくなったりした服は、捨てずに編みなおすことでアクリルたわしに生まれ変わらせることができるのです。

SDGs目標12には「つくる責任つかう責任」があります。

まだ着ることができる服を捨てることは、地球環境に無駄な負担をかけてしまうことになります。着古したセーターをほどいてアクリルたわしに編みなおすことは「つかう責任」というSDGsへの取り組み、サステナブル社会に向けたアクションのひとつです。

静電気を利用して掃除ができる

アクリルの特徴は、静電気を帯びることです。セーターとして着るときには、静電気はデメリットですが、アクリルたわしにとってはメリットになります。

水拭きが難しい電化製品のほこりには、アクリルたわしが活躍します。革靴は化学繊維で仕上げ磨きをすると光沢が増します。使い古したアクリルたわしをきれいに洗い、乾燥させれば靴磨きとして使うこともできるのです。使い古したアクリルたわしは、小さな繊維が少ないため靴に繊維が付着する心配もありません。

アクリルたわしでよくあるQ&A

アクリルたわしの洗浄力はスポンジより弱いですか

アクリルたわしの洗浄力は、スポンジと同等もしくはそれ以上にあります。

アクリルたわしは、編み方によって密度を調整することができます。目が詰まった編み方をしたアクリルたわしは、やわらかいスポンジ以上に汚れを絡み取る力があるでしょう。しかし、しつこい油汚れは、アクリルたわしで洗う前にペーパーで油汚れをふき取ってからにしましょう。それでも落ちない場合は、少量の洗剤を使います。

アクリルたわしで浴槽も洗えますか


アクリルたわしは、お風呂掃除にも適しています。大きめのアクリルたわしは、浴槽洗いにピッタリです。

ただし、お風呂掃除にはポリエステルたわしは不向きです。ポリエステルはアクリルと同じ化繊ですが、ポリエステルの毛糸はラメやキラキラした装飾がついていることが多く、浴槽を傷つけてしまうことがあります。浴槽を洗うときには、やわらかなアクリルたわしを使うようにしましょう。

アクリルの原料は石油ですが本当にエコですか

屋外, 砂浜, 草, ごつごつした が含まれている画像

(c)伊藤忠商事RENU


アクリルの原料は石油です。石油は限りある資源であり、完全燃焼させると二酸化炭素と二酸化窒素と水になります。さらに、不完全燃焼すると一酸化炭素やシアン化水素や炭素が出ます。二酸化炭素は温室効果ガスであり、できるだけ排出したくないものです。

アクリルたわしは、洗剤を使わずに洗えるエコなたわしですが、アクリルたわしを処分するときには二酸化炭素が発生します。限りある資源を大切にするためにも、できるだけ長く使い切る必要があります。

ただ、アクリルたわしは「小さく崩れにくい」「毛糸やセーターを再利用できる」というメリットがあります。

人気のメラミンスポンジは、合成樹脂のため、自然界で分解されません。海に入ればマイクロプラスチックとなります。アクリルたわしはスポンジやメラミンスポンジよりも強度があります。ボロボロになっても崩れる可能性は少ないでしょう。

「毛糸やセーターを再利用できる」ことは、アパレル産業における環境汚染問題の解決につながっています。

服1枚を作るために使われる水の量はお風呂11杯分、排出される二酸化炭素は25.5kgと言われています。購入された服のうち約68%は再利用されずに最後は捨てられています。

また、捨てられた服は焼却施設から埋め立て処分になるのです。SDGsの12番目の目標に「つくる責任つかう責任」に関して私たちが今できることとして、服をアクリルたわしに再利用することは、小さな一歩ですが小さな一歩の積み重ねが大きな成果につながるのではないでしょうか。

サステナブルファッション|環境省

アクリルたわしを使うときの注意点


アクリルたわしを使うときには3つ注意点があります。

1.温度

アクリルは耐熱性がありますが、190度以上になるとやわらかくなります。熱いフライパンや揚げものをした鍋を洗うときには、冷ましてから洗うようにしましょう。乾燥機は使用せず、使用後は風通しのいい場所にぶら下げておきます。

2.におい

納豆や牛乳はアクリルがにおいを吸着してしまうため、使用後はしっかりと洗って乾燥させます。

3.漂白

汚れが気になっても漂白剤の使用はできません。漂白剤につけてしまうと繊維が弱くなってしまい、たわしとして使いにくくなります。

おわりに

SDGsは「持続可能な」という意味が含まれています。アクリルたわしは、楽しみながら続けることができる「持続可能なエコ活動」です。
まだまだ続きそうなおうち時間に、環境にもやさしいアクリルたわしを作ってみてはいかがでしょうか。

以下記事でもアクリルたわしを手作りするヒントをご紹介しています。

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