エシカルとは?サステナブルとの違いは素材・生産・販売に注目!

エシカルな視点

SDGsの関連ワードである「エシカル」。メディアだけではなく、街中のさまざまな場所で見聞きしたことがあるのではないでしょうか?

環境にやさしいポジティブな意味をもつといったイメージがあるものの、具体的に何をあらわす言葉なのかよくわからないという方も多くいます。

この記事ではエシカルとは何か、なぜエシカルという言葉が注目されているのかについて知りながら、身の回りにあるエシカルな取り組みについてご紹介します。

最近よく聞くむずかしそうな言葉「エシカル」とは?

「エシカル」という言葉について、SDGsに関連するキーワードとの関係性を踏まえながら知っていきましょう。

エシカルの意味を簡単に紹介

エシカル(ethical)とは「倫理的」「道徳上」を意味する言葉であり、SDGsを語る際に使われるときは「地球環境や私たちの生きる社会に配慮したさま」を表します。

倫理的や道徳上と聞くとむずかしそうなイメージがありますが、環境に配慮してつくられた製品を購入したり、ものがつくられる過程を知り購入する製品を吟味したりなど、普段のちょっとした意識がエシカルな行動につながっています。
地球という環境の中で生き物たちと共に生きる「人」として守るべきことが「エシカル」と言えます。

SDGs関連ワード「サステナブル」との違い

苔むした石垣
SDGsに関連する言葉として、エシカルのほかにサステナブルがあげられます。
サステナブルは「持続可能な」を意味する形容詞であり、エシカルと関連性の強いキーワードです。

どちらもSDGsとして掲げる目標12「つくる責任 つかう責任」の達成の観点では必要不可欠な考え方であり混同されやすい言葉ですが、違いがあります。

エシカル:どのような素材が使われ、誰がつくり、どのように販売されているのかに注目した行動
サステナブル:地球環境を守り限られた資源を大切にして、将来の子どもたちが安心して暮らしていける社会を実現するための行動や考え

サステナブルに包括されるようにエシカルが存在し、結びつきの強いキーワードです。
つくられる過程に意識を向けて買う・買わないを決めるエシカル消費がサステナブル社会を実現するための一歩であり、サステナブルを意識すれば自然とエシカルな行動がとれるようになります。

エシカルが注目されている理由

開発途上国
SDGsやサステナブルなどの言葉が認知されるにつれ、ますます「エシカル」に目が向けられるようになりました。
SDGsとして掲げる目標の達成やサステナブル社会を実現するには、目先の利益だけではなく、ものがつくられる背景を知る必要があるからです。

安価で質のいい商品は私たち消費者にとって生活を豊かにする“いいもの”として受け取られがちですが、製造背景には発展途上国を中心におこなわれる労働搾取や児童労働、人権問題、環境問題が隠されている場合が少なくありません。
ネガティブな背景が隠された、手にとりやすく安価で納得のいく品質の商品を購入することで、私たちの消費活動そのものが社会問題に加担しているといっても過言ではないのです。

そんな購買行動や製造を改めるために、日本では2015年から消費者庁 倫理的消費調査研究会によるエシカル消費の枠組みづくりがおこなわれ始めました。
消費者によるエシカル消費と事業者によるエシカルなものづくりの加速化を図り、持続可能な未来を実現します。

※参考
「倫理的消費」調査研究会|消費者庁

エシカルを暮らしに取り入れるメリット

エシカルを暮らしに取り入れる、大きなメリット2つをご紹介します。

いつもの買い物が課題解決・社会貢献につながる

オーガニックコットン
普段何気なく手にとる商品について少し考えを深め、使われる素材・つくる人・製造過程などに思いをめぐらすと、いつもの買い物が社会貢献につながります。

たとえば同じコットン素材の衣類を選ぶとき、フェアトレード認証のものを購入する選択肢を加えてみましょう。
フェアトレード認証により開発途上国でコットン生産に従事する生産者へ適切な賃金・価格の上乗せがされたり、危険な農薬を使わずに済み健康が改善されたりなど、貧困・人権問題・環境破壊の課題が解決に向かいます。

新たな発見・心地よいものをみつけられる

野菜売り場
エシカルを暮らしに取り入れると、今まで知らなかった新たな発見につながり、人や環境に配慮しつつ自分にとってよりいいもの・素敵なものに出会う可能性が高まります。

いつもスーパーで野菜や果物を購入している方がエシカルを意識すると、産地直送の通販サイトを使う選択肢が思い浮かぶはずです。
産地直送のメリットは、新鮮な野菜を仲介を挟まずに格安で購入できるだけではありません。
味に問題はないものの変形・変色により廃棄せざるを得ないものや、社会状況の変化で在庫を抱えてしまったものを取り寄せることで、生産者を支える・食品ロス削減による環境保全につながります。

生産者の生の声を聞くことで、これまで知らなかった栄養価の高い野菜やこだわりのフルーツに出会う機会にもつながり、食生活が豊かになるきっかけになりますよ。

エシカルな選択をするために必要な4つの視点と3つの配慮

コーヒー農園で働く人
自分のエシカル基準を決めるうえで、4つの視点と3つの配慮に注目すると買い物のときに役立ちます。
4つの視点とは生産者・メーカー・小売店・消費者の製造~消費までにかかわる視点であり、配慮とは人・社会(経済)・環境の3つです。

たとえばエシカルな服を購入するとき、ファッションを楽しみたいという思いは消費者視点・人への配慮に当てはまります。
この視点・配慮のみではエシカルにつながらず、大量消費・大量生産のファストファッションも含まれるため視点と配慮を変えてみましょう。

「働く人の人権を守りたい」という思いが強いなら、適正な労働環境を守るブランドやフェアトレードの製品を扱うブランドでの購入が優先。環境への配慮を大切にするなら、循環システムを確立したブランドやオーガニック素材の利用率を高めるブランドでの購入が選択肢としてあげられます。

エシカルな企業の取り組み

2021年、アメリカの企業倫理に関する専門研究機関が発表する「世界で最も倫理的な企業135社」に選ばれた日本企業や身近な企業がおこなうエシカルな取り組みをご紹介します。

「世界で最も倫理的な企業」135社を発表。日本から選ばれたのは、あの2社だった|Businesss Insider Japan

花王|消費者の選択をサポートするための情報発信

花王 環境への取り組み © Kao Corporation.
花王はエシカルな消費を促すために、体験型ワークショップやキャンペーンを通じて環境啓発をおこなっています。

12,000店舗で実施した環境企画を通じて、製品を利用した生活に役立つ情報に加え、環境への取り組みを発信し“いっしょにeco”を実現しました。

環境への取り組み|花王サステナビリティ データブック2019

ソニー|自然回復を目指す新たな事業

循環する生態系ネットワークのイメージ図©株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所
砂漠化をはじめとした土壌劣化による環境破壊からの脱却を図るために、協生農法と呼ばれる新たな農法をソニーの技術で推進しています。

耕したり肥料や農薬を使ったりなど従来とは異なり、植物本来の特性を活かして⼟壌機能を回復させる農法です。植物による空気清浄だけではなく、生物の多様性を促進させる・ヒートアイランドやゲリラ豪雨などの影響緩和など、さまざまなメリットがあります。

六本木ヒルズで協生農法に関する実証実験を開始|株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所プレスリリース

スターバックス|エシカルな調達100%のコーヒー

スターバックス ethical sourcing©Starbucks Coffee Company
身近なカフェの代表格であるスターバックスは、環境と人権を守るために高品質・経済的透明性・社会的責任・環境配慮の4つをクリアする持続可能な調達モデルを確立しました。

10年以上の取り組みにより、スターバックスが買い付けるコーヒー豆の99%がフェアトレード、または認証プログラムの基準を満たし、生産者の人権と環境を守るエシカル調達がされています。

Ethical Sourcing エシカルな調達|スターバックスコーヒー ジャパン

まとめ

エシカルについて理解を深めると「私でもできそう!」と思えたのではないでしょうか。

一見とっつきにくさを感じる言葉ですが、ものづくりの背景にある人・環境・社会について考え思いをめぐらすだけでもエシカルな行動です。
商品を手にとるとき、誰が・どこで・どのようにかかわったことでつくられたものなのか、考えてみませんか?



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