食品ロスの3つの問題点とSDGsの関係|買いだめから備蓄へのシフトで解決!

いたんだ野菜たち

食品ロスの問題は「もったいないから」だけではありません。
環境や貧困、人権などさまざまな世界的課題に関連しています。

この記事では、なぜ食品ロスが問題視されているのか、食品ロス問題を解決するためにどのような取り組みがおこなわれ、私たちは何ができるのかについてご紹介します。

【食品ロスの問題点】なぜ悪いのかSDGsとの関連性

食品ロスがなぜ世界規模の課題としてあげられているのでしょうか?
SDGsで掲げている17の目標と関連付けながら、3つの問題点についてみてみましょう。

環境負荷や資源の無駄遣いになる|気候変動に具体的な対策を【SDGs目標13】

とうもろこしを乾燥させる
「とうもろこしの皮も乾燥すればこんなに減ります。 」©京都市ごみ減量推進会議
食品ロスの大きな問題点は、地球温暖化につながる環境負荷が大きいことです。
食品ロスの焼却だけではなく、製造業から卸売業、小売業と流通でも二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスが発生します。

家庭の食品ロスは生ごみとして廃棄され、水分が約80%を占めています。
焼却するにはゴミそのものよりもまず水分を燃やす必要があり、余計なエネルギーが必要。
水を切らずにそのまま捨ててしまうと、エネルギー資源の無駄遣いにつながってしまいます。

また日本では食料自給率が低いにもかかわらず、大量の食品ロスが発生している点も問題としてあげられています。
食糧自給率が低い=外国からの輸入に頼っている証拠であり、外国の原料やエネルギーを使って生産し、輸送エネルギーをかけて輸入しているため、世界の環境問題に悪影響を与えている状況です。

ごみにまつわるこの数字なぁに?|京都市ごみ減量推進会議 事務局
食品ロスってなに?|消費者庁

日本では子どもの7人に1人が貧困状態|飢餓をゼロに【SDGs目標2】

混沌と貧困の街かど
「貧困」と聞くと開発途上国でくらす貧しい子どもたちが思い浮かび、どこか遠い世界の出来事のように感じる方が多いのではないでしょうか?
実は日本でくらす子どもの7人に1人が貧困状態にあり、とても身近な問題です。

同質を好む日本人の国民性から貧困状態が見た目でわかりにくいものの、家庭内では十分な食事がとれず栄養不足に陥り、成長の妨げになっている場合があります。

食品ロス問題が取り沙汰される裏では、満足な食事ができないほど貧困状態にある家庭も存在。
ロスの削減とともに、食べ物を求めている方たちへ届けられるしくみの整備が必要です。

2019年 国民生活基礎調査

人権、労働環境悪化に発展|つくる責任、つかう責任【SDGs目標12】

食品ロスと人権は、一見関連性がないように思えますよね。
しかしものづくりは人に支えられているため、食品ロスによる環境負荷の削減に努力しなければ、温暖化による労働環境の悪化に発展します。

環境と社会が不安定になると生産性の低下に発展し、ビジネス上のリスクにつながる可能性が拡大してしまうのです。

食品ロス問題の解決に繋がる取り組み

食品ロス問題の解決を目指し、どのような取り組みがおこなわれているのかについてご紹介します。

食品廃棄物の再利用

食物廃棄物の再利用
食品リサイクルの制定により「モノからモノへ」の循環や食品ロスの発生抑制、減量化を環境負荷の低減に配慮しながらものづくりを目指す動きが進みました。

注目すべきは、発生してしまった食品廃棄物を再利用し、新たなエネルギーとして活用する動きです。
具体的には以下のような取り組みがおこなわれています。

・コーヒー豆粕を飼料化し乳牛の餌として再利用
・廃棄食品を肥料化し野菜を生産

食品ロスの抑制や減量はもちろん、モノからモノに循環することで無駄遣いを減らせます。

食品廃棄物等の発生抑制と再生利用(リサイクル)の推進

フードバンクやフードドライブの普及

西友 食品寄付 © Seiyu GK.
フードバンクとは食べられるのに捨てられてしまう未利用食品を、必要な人や施設に届ける団体や活動です。
アメリカではメジャーな取り組みであり、コロナ禍によって職を失った人をはじめとした生活困窮者をサポートしています。

私たちができるのはフードドライブと呼ばれる、フードバンクを通じて食品を寄付する活動。
スーパーで購入した一部の食品を学校や職場、役所に持ち寄ることで食べ物が必要な人たちをサポートできます。

スーパーマーケット業界の先駆けとして食品寄付活動に貢献している西友は2009年から活動を始め、2020 年末までに寄贈した食品・助成金の合計が4億円を超えるに至りました。
店頭に設置している専用ボックスに入れるだけで、誰でも食品ロス削減の手助けができます。

社会貢献活動について|SEIYU – 西友

「買いだめ」ではなく「備蓄」のすすめ

消費者庁 備蓄 ©消費者庁
コロナ禍による買いだめ需要の増加により、いつ何が起こっても食べ物が不足しないようストックの意識が高まりました。
災害対策として食料品を確保しておくのは大切ですが、買いすぎてしまったことで賞味期限切れによる家庭内食品ロスになってはいけません。

「買いだめ」ではなく「備蓄」を意識すると、災害時の備えと食品ロス削減につながります。

買いだめと備蓄の大きな違いは計画性です。
買いだめは、必要な分と備える分以上の食料品を購入してしまいがちで、賞味期限切れや腐らせてしまうことで食品ロスにつながりやすい方法と言えます。
一方の備蓄は、いつもより少し多めに購入→消費→買い足すという手順を踏み、必要分を消費したあとに買い足すので、常に一定の常備食がキープできます。

食品ロスにしない 備蓄のすすめ|消費者庁

まとめ

食品ロス削減のためには家庭内でできることだけではなく、役所やスーパーでフードドライブに挑戦したり、食品ロス削減に努力している企業のサービスを利用したりなど、さまざまなアプローチができます。

国や自治体、企業の食品ロス削減の取り組みを知ることで、私たち一般消費者がどのようなサポートができるのかに気づけるはずです。

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