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置き配は主婦の方の一言から始まった!? ファンケルの配送サービスから紐解く置き配の歴史(SDGs目標13)

2020年6月時点のSDGs目標別達成ランキングで日本は17位であること、皆さまご存知でしょうか?その中でも大きな課題が残り、取り組みが停滞していると評価されている分野の一つが「13番:気候変動に具体的な対策を」です。

その改善アクションの一つとして、気候変動の要因として大きな割合を占める温暖化ガス(CO2など)の排出を抑制できる「置き配」があります。通販サイトでの受け取り方法として「置き配」という選択肢を提供するサービスも増え、また、新型コロナウイルスの感染拡大予防として非対面での受け取り方法として聞かれたことがあるかと思います。

今回は、身近な荷物受け取りをちょっと変えることでできる気候変動対策と新たな受け取り方として定着した置き配についてまとめてみます。

購入時に置き配を選ぶメリット

通販を頻繁に利用する人にとって、荷物の受け取りに苦労している方もいると思います。時間帯指定をしていても午前中指定だと半日荷物待ちに費やすことも。また、最近は通販サイトの利用人数も急増しているため、集合住宅にお住まいの方はエントランスの宅配ボックスが常に満杯なんてことも多いと思います。そんな時間的拘束やコロナ感染リスク、またお手洗いに行きづらいなどの行動制限によるちょっとしたストレスを解消してくれるのが「置き配」です。

日本郵便では、置き配を「あらかじめご指定いただいた場所(玄関前、置き配バッグ、宅配ボックス、車庫、物置など)に非対面で荷物などをお届けするサービスです。」(日本郵便HP)と定義しており、対面ではなく、私たちが指定した場所(自宅敷地内)で荷物を受け取ることができます。
置き配の受取人と配送員、双方にとっての最大のメリットは再配達が発生しないこと。
そして、受け取り場所を指定しておけば、荷物の待ち時間もゼロにできます。
(※配送先の環境や、配送する商品によって置き配ができない場合もございます)

再配達と気候変動対策の関係


再配達のために配送車両を走らせると、1回で荷物を配送する場合に加えて余分なCO2が排出されることになります。一般的な配送トラック(ガソリン/営業用小型車)での再配達によるCO2排出量を概算すると下記のようになります。国交省発表※1の計算式を使って、実際の数値は2020年の数値を当てはめてみると…

2019年の宅配便取扱個数を43億2349万個(国土交通省発表)
2020年10月の再配達率 11.4%(国土交通省発表)
43億2349万個 x 0.58km/個 x 11.4% x 1t x 808/1,000,000 t-CO2/t・km
=230,982 t-CO2c

23万トンと言われてもピンとこないかもしれませんが、日本人1世帯当たり(平均世帯人数 2.31人)が普段の生活の中で家庭から排出するCO2量は年間2.72t-CO2であるので※2宅配物の再配達だけで、約8.5万世帯が家庭から年間に排出するCO2量と同等となります。そう考えると結構大きいですよね。

こうしたCO2の排出を、受け取り方をちょっと工夫することで手軽に抑制できる方法が置き配です。通常、利用には購入時や購入後に配送物単位で希望する置き場所(玄関前や車庫など)を指定しますが、この選択肢を最初に開発したのはある通販企業でした。
※1 国土交通省 2019年 宅配の再配達の削減に向けた受取方法の 多様化の促進等に関する検討会 報告書P5
※2 環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査(家庭CO2統計) 2019年度調査について:2019年度調査の概要レポートP4

置き配はファンケルユーザーの一言から生まれた!?


現在、ヤマト運輸やAmazon、楽天も導入している「置き配」の基礎を作ったのが、実はサプリメントや化粧品で有名な株式会社ファンケル(以下「ファンケル」)であることはご存知でしたでしょうか?
ファンケルは「置き配」という言葉も存在していなかった1997年に自社顧客向けのサービスとして「置き場所指定お届けサービス」という配送サービスを開始しました。当時、自社配送網の構築を検討していた同社が沖縄県で検証を行なっていたところ、参加した主婦の方から何気なく「自転車のカゴに入れておいてくれればいいのに」と言われたのが、顧客の指定場所に配送するといったアイデアのきっかけになったとのことです。(2018年5月のファンケル社へのインタビューより)。

当時のファンケルの配送先の選択肢には、下図の通り、自転車のカゴのほかに11箇所の選択肢がありました。この選択肢での運用当初にファンケルの配送を担っていたのが、日本通運(ペリカン便)であり、その後、日本通運の宅配事業撤退により、ファンケルの置き場所指定お届けサービスは日本郵便(ゆうパック)に引き継がれています。

株式会社ファンケルHPより(※2018年5月時点情報)

そして、2019年3月に日本郵便が他の配送会社に先駆けて「指定場所ダイレクト」という配送サービスを開始し、ファンケルの配送もそちらに切り替わったため、従来の11箇所の選択肢から、7箇所(表の右側:玄関前、メーターボックス、ポスト、物置、車庫、宅配ボックス、自転車のカゴ)に変更になっています。洗濯機の中という選択肢の削除は、個人宅の洗濯機が通りがかりの誰もがアクセスできる場所に設置されている様子は最近はあまり見られなくなり、時代の変化に応じた変化と言えます。

出典:商品のお届け指定場所に関するお知らせ

生活スタイルに合わせた置き配の活用

20年以上前に選択肢が作られた置き配ですが、下表を見ると、当時ファンケルが開発した選択肢の多くが、配送各社の置き配の選択肢として利用されているのが分かります。

配送会社非対面で引渡し可能な選択肢
ファンケル
※2019.4変更前の選択肢
玄関前、メーターボックス、集合ポスト、物置、車庫、宅配ボックス、自転車のカゴ、管理人様預け、洗濯機の中
ヤマト運輸玄関ドア前、自転車かご、車庫、物置、宅配ボックス、ガスメーターボックス、建物内受付/管理人預け
日本郵便玄関前鍵付容器(OKIPPA等)、玄関前、宅配ボックス、メーターボックス、物置・車庫
※日本郵便の場合には、OKIPPA設置の場合には「指定場所配達の依頼書」の提出が不要になります。詳細はこちら
Amazon玄関、宅配ボックス、ガスメーターボックス、自転車かご、車庫、建物内受付
Rakuten EXPRESS玄関、ガスメーター、自転車、宅配ボックス、車庫内、建物内管理人預け、OKIPPA
※OKIPPA預入れの選択肢についての詳細はこちら

ただ、中には置き配は盗難が不安という方もいらっしゃるかと思います。その場合は、時間帯指定と組み合わせて置き配を利用すると荷物が置かれる時間を2時間以下に短縮することができ、盗難リスクを下げることも可能です。

また、万が一、盗難に遭ってしまった場合にもAmazon社では補償制度を整えていますし、日本郵便では置き配バッグ等の簡易のセキュリティバッグの利用も推奨しており、置き配を利用しやすいサービス作りを推進しています。

まとめ

受け取り方をちょっと変えることで、生活の利便性だけでなく、環境負荷も下げられる可能性を感じていただけたでしょうか?
なにげない一言をきっかけに生まれた置き配ですが、再配達削減だけでなく、コロナ禍においては受取人と配送人の感染症対策にも有効な受け取り手段ですので、ぜひ生活に取り込んでみてください。
ファンケルの置き配についてもっと知りたい方は、過去のインタビュー記事もご覧ください。

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