リサイクルマークを解説!段ボールやプラ・空き缶の識別表示の違いは?

紙を切り抜いたリサイクルマーク

書類や文具を整理するのに便利な紙箱ですが、よくよくチェックしてみると、紙ではなく段ボールで作られているものも混じっています。
一昔前の段ボールと言えば、梱包以外の用途では自由研究の材料くらいといったイメージでしたが、その質感や耐久性は年々高くなっており、一目見て段ボール製品なのか紙製品なのか分からないものも珍しくありません。
ネット通販で購入したアイテムが段ボール箱に入って届き、その段ボール箱の中に入っている品物を包装している箱もそうです。

空き缶や電池も同様で、一目見ただけではどんな素材で作られているのか分からないものが増えてきています。
ごみを処分する際、素材によって捨てる場所や曜日が異なることも多いため、忙しい毎日の中で細かく分類するのは時間と手間がかかりますよね。

そんな時、かんたんに製品の情報を確認する方法の一つに「リサイクルマーク」のチェックがあげられます。
この記事では、紛らわしい素材が使われているごみの分類に役立つ見分け方と、仕分けを楽にしてくれるリサイクルマークの種類をご紹介します。

リサイクルマークはなぜ生まれた?

ナチュラルな紙バッグ

リサイクルマークは、わたしたち消費者がごみを捨てる際の分別を簡単にして、市町村の分別収集をしやすくする役割を担っています。
リサイクルマークを印刷・表示しなければならない素材はある程度決まっていて、特に重要なものは「識別表示(識別マーク)」と呼ばれ、資源有効利用促進法によって表示が義務付けられています。
資源有効利用促進法(経済産業省HP)

冒頭でお伝えしたように、わたしたちが日々の生活で購入・利用する商品の中には、どういった素材でできているのか一目では分かりにくいものが多く見られます。
紙製品と段ボール製品は、同じ色・同じパッケージで売られていると、表面だけを見てもまったく見分けがつきません。

そういった分別が難しい商品を見分ける方法の一つとして、識別マークは有効です。
紙製の容器包装には、円を描く矢印の中心に「紙」と書かれた識別マークが印字されていることが多いため、基本的にそれをチェックすれば間違いなく分類できます。

他に紛らわしいケースとしては、アルミ缶とスチール缶・プラスチック製容器・充電池(ニカド・ニッケル・リチウム等)などがあげられます。
これらにも原則として識別マークが表示されており、利用者がかんたんに素材を見分けることができるようになっているのです。

分類しにくい時ケースの見分け方

折りたたんで積み重ねらた段ボール

リサイクルマークが印刷されている缶・容器包装などは、その表示を見るだけで素材を確認できますから、分別にそこまで時間と手間はかからないでしょう。
しかし、それが印刷されていなかった場合、判断に迷うかもしれません。

「法律で表示義務があるのにそんなことがあるの?」と思うかもしれませんが、識別マークの表示が法律で義務付けられているものを除いては、表示が確認できないケースもあるのです。
例えば、段ボール製包装容器の識別表示は義務ではなく、関係業界団体が自主的にマークを採用・表示することにしているにすぎません。

とはいえ、多くの商品には識別マークが表示されているため、基本的には困ることは少ないでしょう。
ただし、製紙原料として利用困難な素材が複合されており、それらの素材を分離できない段ボールに関しては、リサイクルマークを表示できないという段ボールリサイクル協議会のルールもあります。
段ボールリサイクル協議会

もう少し具体的な例をあげると、以下のようなケースが該当します。

・ろう (蝋)段(ワックス付段ボール)、アルミ箔をラミネートしたもの
・プラスチック製緩衝材や布などを貼り合わせたもの
・魚・洗剤類・線香・香辛料などの臭いのついた段ボールケース

段ボールリサイクル協議会|リサイクルが困難な段ボールへの対応

これらのリサイクルに向かない段ボールは、自治体によっては資源ごみとして捨てることもできますが、基本的には燃えるごみ扱いとなります。
一例をあげると、宅配ピザの箱は段ボール素材ですが、汚れがひどいので細かく切って燃えるごみとして出すのが正解です。

逆に、家具や容器として使用していた段ボールで、質感の高いものを使用している場合、リサイクルマークが見つからないことも考えられます。
段ボールのリサイクルマーク表示は法律で義務付けられておらず、そもそも表示していない製品があることも十分考えられるため、紙の断面を見て判断する方法があります。

段ボールは、ライナーと呼ばれるまっすぐな紙と、その間に入っている波線状の中芯と呼ばれる紙を貼り合わせて構成されています。
断面に波線状の模様が見えて、表と裏のライナーが「段ボール原紙(茶色で固めの質感)」でできていれば、それは段ボールと判断できます。

ただ例外もあり、表面のライナーが段ボール原紙ではなく印刷用紙などで、そこに中芯と裏ライナーを貼り合わせて箱にしているなどの場合、段ボールと紙の重量割合に応じて分類が変わります。
段ボールの重量割合が多い場合は段ボールに分類されますが、市町村によって区分が違う場合があるので、不安を感じたら広報やごみ分別のガイドブックなどをチェックしてから分類することをおすすめします。

ごみの分別時に覚えておきたいリサイクルマーク

ノートの切れ端と丸めた紙くず
リサイクルマークの重要性が分かったところで、続いては「覚えておくと便利なリサイクルマーク」にスポットを当ててご紹介します。
法律で義務付けられているものはもちろん、そうでないものであっても、マークを知っているだけでごみの分別が楽になるはずです。

法律で表示が義務付けられているもの

まずは、法律で表示が義務付けられているものについておさらいしていきます。
以下にご紹介するものは、比較的見つけやすいマークですから、油断して見落とさないよう注意しましょう。
識別表示(経済産業省HP)
リサイクルに役立つマーク(一覧)|公社 食品容器環境美化協会

飲料缶の識別マークスチール飲料缶の識別マーク アルミ飲料缶の識別マークスチール缶・アルミ缶を識別するためのマークです。
主に、飲料やお酒の容器に表示されています。
ペットボトルマークペットボトルマークペットボトルにつき、他のプラスチック製容器と区別するためのマークです。
飲料の他、しょうゆ・お酒などの容器に表示されています。
調味料のボトルを、誤ってプラ容器に分類して捨ててしまっていた人もいると思いますので、その点に注意しましょう。
プラスチック製容器リサイクルマークプラスチック製容器包装マークペットボトル「以外の」プラスチック製容器に表示されるマークです。
紙製容器包装マーク紙製容器包装マーク紙製の容器包装に表示されるマークです。
例外として、段ボール・内側にアルミホイルが貼られていない飲料用紙パックには表示されません。
小形二次電池マーク小形二次電池マークモバイルバッテリー・ビデオカメラ・電動工具などに用いる小形二次電池を区別するためのマークです。
※小型充電式電池のリサイクル(一社 電池工業会)
家電量販店などでは、専用のリサイクルボックスを用意しているところもあります。
※充電式電池のリサイクルにご協力ください
【補足】
①電池型枠付きリサイクルマーク
②リサイクルマーク
回収・リサイクルが必要であることを示す「スリーアローマーク」と二次電池の種類を示す文字(Ni-Cd、Ni-MH、Li-ion、Pb)を表示する義務がある。
※家電製品の小型二次電池使用機器の表示ガイドライン(一財 家電製品協会)

自主的に採用されている容器包装マーク

次に、法律で義務付けられているわけではありませんが、分類時に分かりやすいリサイクルマークをご紹介します。
普段の生活で見慣れたものも多いため、ごみをまとめる際に意識してチェックしてみましょう。

飲料用紙パックマーク飲料用紙パックマークアルミが使われていない紙パックに付けられるマークで、内側にアルミを貼っている紙製容器と区別する目的で用いられます。
牛乳パックが有名な例です。
段ボールマーク段ボールマーク段ボールを使った容器・製品に付けられるマークです。
紙と貼り合わせて使用する場合、その重量度合いによって紙製品かどうかの区分が分かれます。
一般缶材質表示マーク一般缶材質表示マーク飲料・お酒以外の一般缶(鉄製容器)に付けられるマークです。
表示マークがついていると分かりやすいですが、マークがついていないからといってリサイクルの対象外とはならない点に注意が必要です。
※全日本一般缶工業団体連合会
※スチールマークについて

おわりに

以上、ごみの分類に役立つ素材の見分け方・仕分けを楽にするリサイクルマークの種類についてお伝えしてきました。

長年正しいと思って行ってきた分別が、実は間違っているというケースも考えられますから、ごみを分類する際はぜひ意識してリサイクルマークをチェックしましょう。
また、普段当たり前のように分類している素材も、モノによっては仕分け方が異なるため、例外となるケースを市町村の公報で確認しておくと安心ですね。

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