食品ロスの現状と原因とは?事業者やご家庭で取り組める対策も紹介!

もりあわせ野菜素材

食べられるのに捨てられてしまう食品ロスの現状は、どのようになっているのでしょうか?

食品ロスは「もったいない」の言葉では片付けられないほど世界規模の課題となっており、現状を知ることで私たちが今できることを気づかせてくれます。

食品ロスが発生する原因や現在おこなわれている・検討されている具体的な取り組みについてみてみましょう。

食品ロスの現状

まずは食品ロスの現状について知り、日本にとってどれほど大きな課題であるのかについてご紹介します。

1人あたり年間47kgもの食品ロスが発生

SDGs ranking 2020
165カ国のSDGsに関連する取り組みを分析した最新の報告書によると、SDGs達成度ランキングにおける日本の順位は17位から18位に下がりました。
度々問題視されているジェンダー平等だけではなく、気候変動対策や陸上・海洋の持続可能性が重要課題とされています。

他国への波及効果を表すスピルオーバー・スコアは、欧州諸国や米国など34カ国の先進諸国の平均と比較すると若干低く、東アジア・南アジア地域との比較において低い結果がでており、早急に対策を打つ必要があります。※1

食品ロスの観点でも、実際に日本では1人あたり年間47kgもの食品ロスが発生し、具体的には毎日茶碗1杯分のご飯を食べられるにもかかわらず捨てている状況です。※2(2018年度数値)

食品ロスは環境負荷に繋がるため、特に日本の大きな課題となっている気候変動対策や陸海の持続可能性問題を解決するには、食品ロスの削減が避けられない課題としてあげられます。

※1 SDGs達成度ランキング|サステナブル・ブランド(2021年6月16日)
※2 食品ロスとは|農林水産省

新型コロナウイルスによる影響で深刻化

コロナ禍による巣ごもりで家庭用の食材の需要が急増する一方、業務用の需要が減少し需給バランスが大きく変化しました。

外出自粛要請や営業時間の短縮要請により外食産業の食品ロスが減ったとされますが、原材料や製品在庫の廃棄量増加、急な売上減による生販計画のズレによる廃棄など、製造業では食品ロス問題が深刻化しています。

新型コロナウイルス感染症による食品ロス発生量への影響|令和2年度食品産業リサイクル状況等調査委託事業

食品ロスはなぜ発生しているのか

食品ロスは「事業系食品ロス」と呼ばれる製造から消費者のもとに届くまでの流通過程や飲食店で発生するものと、家で発生する「家庭系食品ロス」と呼ばれるものの2種類があります。

それぞれの食品ロスがなぜ発生してしまうのか、ロスがでてしまう過程や原因を探ってみましょう。

事業系食品ロスは4つの原因で発生

ろすのん©農林水産省
流通や飲食店で生まれる事業系食品ロスは、大きく4つの原因で発生します。

1.規格外野菜・果物のロス
2.返品・納品期限切れ
3.売れ残り、破損品
4.仕込みロス、食べ残し

1の規格外の野菜・果物とは、味に問題はないものの欠け・割れ・いびつな形などの一定基準を満たせず商品価値が下がってしまい、販売できない食材のことです。
規格外の食材は直接私たちに届けられず、ジュースやスイーツなどに加工されますが、消費されない分は食品ロスとなり、流通の初期段階で“もったいない”が生まれます。

2の返品・納品期限切れは、小売りへの納品時・販売時にあらかじめ設けられた期限を過ぎてしまうと廃棄される仕組みによって発生する食品ロスです。
現在は納品期限を緩和する新たなルールづくりが検討されています。

そのほかスーパーやコンビニなどで売れ残ってしまった商品や、飲食店での仕込み・食べ残しも食品ロスの原因です。

食品ロスの削減に向けて|農林水産省

家庭系食品ロスは3つの原因で発生

食材カッティング

1.過剰除去
2.期限切れや傷み
3.食べ残し

家庭系食品ロスが発生する代表的な原因は、期限切れや傷みによる廃棄や食べ残しです。

注目は余分に捨ててしまっている「過剰除去」。
「過剰除去」とは皮の剥きすぎや切りすぎによって必要以上に可食部が除去されることであり、直接廃棄や食べ残しに並ぶ代表的な家庭系食品ロスです。

2017年の推計では、1年で65万トンもの「過剰除去」による食品ロスが発生しています。

令和元年度 食品廃棄物等の発生抑制及び 再生利用の促進の取組に係る実態調査|環境省

食品ロス対策につながる取り組み

食品ロス発生の原因に対する解決方法として、現在実施・検討されている取り組みをご紹介します。

事業系ロス対策

フードロス飲食店用事例集©農林水産省

・製造系:賞味期限延長、過剰生産の抑制
・卸、小売り:バラ売り、小容量販売、売り切り
・外食産業:持ち帰り推進、食べきり運動、提供サイズの調整

事業系ロスを削減するには、メーカー(製造業)・卸売業・小売業の流通段階ごとの対策に加えて、フードチェーン全体での協力が必要不可欠です。
製造量を調節できるよう余裕をもって受注をしたり、小売業が直接生産者から仕入れたりなど、連携することで食品ロス削減に努めています。※1

外食産業では過去の来客データや天気を考慮し必要な分だけ仕込みをおこなう、食べ残しを減らせるよう小盛メニューの充実を図るなどの取り組みがおこなわれています。※2

※1 食品ロスの現状|消費者庁
※2【全体版】飲食店等の食品ロス削減のための好事例集|農林水産省

家庭系ロス対策

家庭向け食品ロス削減パンフレット©消費者庁

・買い物や調理時の注意点をチェック
・食品ロス量の把握

買い物前に食材を確認する、必要な分だけ購入するなど、ごく当たり前におこなっている6つのポイントを改めてチェックしてみましょう。

すべてクリアしている方は、いつ・何を・どれくらい捨てたのか1週間メモをおこない、なんとなくしてしまっている食品ロスを“みえる化”すると、さらにもったいないを減らせます。
実際に徳島県で捨てた食材のメモをおこなったところ、食品ロスの計量のみで約2割減、計量+削減の取り組みで約4割減と、家庭内食品ロスの削減に達成しました。

家庭内食品ロスを減らせるよう、2021年6月から大手コンビニ4社が“てまえどり(=商品を手前から取ろう)”を呼びかけているものの「なるべく賞味期限が長いものを購入したい」のが私たち消費者の本音。
しかし“てまえどり”という活動を機に、食品を期限内に消費してムダにしない意識が高まるはずです。

平成29年度徳島県における食品ロス削減に資する取組の実証調査|消費者庁

まとめ

食品ロス削減には事業者の取り組みだけではなく、私たち一般消費者の努力が必要です。
現状を知ることでどれほど深刻な問題であるのか、今できることな何なのか理解できたのではないでしょうか?

家でできること外食先でできることを実践し食品ロス削減を意識することで、環境や人に配慮したゆたかな暮らしの実現に近づきます。

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