エコ石鹸を廃油から作る方法を紹介!地球環境に優しく家事でも大活躍
毎日なにげなくやっている家事が地球環境に影響を与えています。とくに台所から出されるものは地球環境に直結しています。
今回は、揚げ物をしたときに出る廃油を使って作るエコ石鹸を紹介します。下水に流したら地球環境の悪者になる廃油をちょっとした手間をかけて石鹸に変えてみましょう。
家庭から出る廃油が地球環境を汚している?
揚げ物をしたときに出る廃油はどのように処理していますか。揚げ物に使う動植物油は、少量ならば微生物の働きによって分解されます。しかし、小さな微生物の分解速度はとても遅く、どんどん廃油を下水に流してしまえば、あっという間に海は汚染されてしまいます。
海に流れ出た廃油は酸素と結びつくため、海の酸素は減り、魚や生物が酸欠状態になってしまう可能性があるのです。
中には「私が出す廃油なんて地球規模で考えたら微々たるもの」と思い、なにげなく下水に廃油を流していた人もいるかもしれません。しかし、流していた廃油が海の生物を苦しめていたらと思うと悲しいですね。
ひとり一人が適切な処理をして廃油を処分することで海や地球環境を守ることができます。
廃油を使ったエコ石鹸の作り方
廃油の処分方法は「市販の凝固剤で固めて燃えるごみとして捨てる」「不要になった紙に浸み込ませて捨てる」などの方法があります。しかし、ちょっとした手間をかけるだけで石鹸に作り替えることができます。
廃油を使って使った石鹸は、子どもの運動靴洗いや掃除など用途も幅広いです。地球環境に優しいだけでなくお財布にも優しいエコ石鹸をぜひ作ってみてください。
エコ石鹸の作り方
1. エコ石鹸の材料は、廃油と苛性ソーダです。
廃油はザルで漉して揚げ玉をとり除きます。苛性ソーダは薬局で購入します。身分証明書とハンコが必要です。苛性ソーダは1本450g入りで販売されていることが多いようです。
今回は、苛性ソーダ450gと廃油2.7Lを使って石鹸を作ります。
2. ステンレス製の容器に苛性ソーダ450gと水900mlをあわせます。
苛性ソーダは、強いアルカリ性のため目に入ったり手に付いたりすると大変なことになります。
石鹸を作るときには、使い捨て手袋とゴーグルとエプロンをしましょう。
また、苛性ソーダは水と合わさると高熱(約80度)になり蒸気が発生します。蒸気を吸い込まないように換気に注意して作業してください。
©Jellyfish Corp.
3. 苛性ソーダが完全に溶けて透明の液体になったら40度くらいまで冷まします。
4 廃油も40度くらいまで温め、苛性ソーダ水とあわせます。
©Jellyfish Corp.
5. 混ぜたら30分以上は混ぜ続けましょう。数時間でとろみがでます。カスタードクリームくらいの固さになったら型に入れます。
©Jellyfish Corp.
型は石鹸作り専用の型もありますが、紙コップや牛乳パックも使えます。一晩おくと固い石鹸になります。1カ月ほど乾燥させたら完成です。
エコ石鹸は失敗が少ないことも魅力です。計量さえしっかりと行えば、時間はかかっても固い石鹸に仕上がります。
石鹸作りでよくある質問Q&A
Q:ペースト状のエコ石鹸にするにはどうしたらいいですか。
ペースト状のエコ石鹸は、歯ブラシにつけて使うことができます。
ステンレスの汚れや石けんかす落しに便利です。ペースト状のエコ石鹸は、固形のエコ石鹸を発展させて作ります。
作り方は、固形のエコ石鹸50gを細かく刻みます。ジャムの空き瓶などふたがついている空き容器に刻んだ石鹸とお湯75gを入れて混ぜます。
石鹸がかたいときにはお湯につけた状態で一晩おくとやわらかくなります。石鹸とお湯が混ざりクリーム状になったら重曹20gを加えて混ぜます。
重曹を混ぜると空気を含みふっくらとしたペースト状のエコ石鹸ができあがります。
Q:苛性ソーダと水と廃油を混ぜる容器はプラスチック製ボウルでもいいですか。
苛性ソーダはとても強いアルカリ性です。プラスチック製のボウルに苛性ソーダと水を入れて混ぜるとプラスチックは変形して溶けてしまいます。
石鹸を作るときにはステンレス製のボウルを使いましょう。石鹸作りは混ぜる作業が多くあります。プラスチック製のスプーンで混ぜるとあっという間に変形してしまいます。石鹸作りの道具は泡だて器もステンレス製を用意します。
石鹸を固めるためにはしっかりと混ぜ合わせることがポイントです。
しかし、泡だて器でケーキを作るときの勢いで攪拌することは危険です。周囲に液が飛び散らないように静かにゆっくりと混ぜ合わせるようにしましょう。
Q:数時間たってもとろみがでません。失敗ですか。
苛性ソーダと水と廃油を混ぜると数時間でとろみのある液体に変わります。色は白く濁りはじめカスタードクリームのような見た目になります。しかし、温度管理がうまくいかなかったり、混ぜる時間が短すぎたりするととろみが出るまでに時間がかかることがあるのです。
分量の計量を間違いなくできていればもうしばらく待ってみましょう。
Q:あまった苛性ソーダを捨てたい。どうしたらいいですか。
使い切れなかった苛性ソーダを捨てるときには注意が必要です。苛性ソーダをそのまま捨てることは法律違反です。
また、水と一緒に苛性ソーダを下水に流すこともやめましょう。熱を発し排水管を壊してしまうことがあります。しばしば酸性の酢と混ぜれば中性になると考える人がいますが、苛性ソーダのアルカリ性はとても強く、食用酢では不十分です。
あまった苛性ソーダは、廃油やラードを使って鹸化させる方法が一番簡単でしょう。
廃油がなければラードでも石鹸作りは可能です。ラードで作った石鹸はとても固く洗浄力があります。
分量は苛性ソーダ10gに対してラード80gです。多少ラードを多めにしてもしっとりとした石鹸に仕上がります。水はラードの重量の30%が適量です。
やむを得ず苛性ソーダをそのまま捨てるときには自治体や購入した薬局に相談してください。
廃油だけじゃない! アレもコレも材料になる
エコ石鹸は、廃油だけでなくたくさんの「捨てるはずだったもの」を再利用して作ることができます。
例えば、賞味期限が切れてしまったオートミールや米ぬかを混ぜれば研磨剤の代わりになります。細かくすりつぶして混ぜればお風呂の水あか落しに活躍します。食べられなくなった食品を石鹸に生まれ変わらせることで食品ロス対策にもなるのです。
型は、牛乳パックを再利用してもいいでしょう。大きな石鹸を作りやわらかいうちに好きな大きさにカットして使うこともできます。
カットするときには糸を使って結ぶようにして切ると簡単に切り分けることができます。
プラスチック製のヨーグルトカップを再利用するときには、カップの内側にオリーブオイルやサラダ油を塗っておきます。直接流し込んでしまうとカップに石鹸がはりついてしまい取り出せなくなってしまうことがあります。
エコ石鹸を上手に作るためのポイント
エコ石鹸を上手に作るポイントは3つあります。
1つ目:不純物を取り除く
廃油の不純物を丁寧に取り除くことです。目に見える不純物を丁寧に取り除くことできれいな石鹸になります。
2つ目:温度を管理する
温度管理です。苛性ソーダと水を混ぜ合わせた液体は約80度まで上がります。廃油は、冷めてから使うことが多く40度以下に下がっています。
廃油をステンレスのボウルに移し替えて湯煎して温めましょう。苛性ソーダ水と廃油の温度を40度にあわせて混ぜることでよりはやくとろみを出すことができます。
3つ目:よく混ぜる
最後のポイントはよく混ぜることです。
混ぜ合わせる時間が短いと分離してしまうことがあります。30分以上はじっくりと混ぜてとろみがしっかりと出てから型入れします。
おわりに
エコ石鹸は失敗が少なく簡単にできるエコ活動です。家事から出た廃油で石鹸を作り、再び家事に使ってみてはいかがでしょうか。
地球環境を守る活動は楽しみながら続けることが大切です。苛性ソーダの扱いに気を付けながら楽しいエコ活動を始めましょう。
参考
手作りせっけん&材料道具店 tecolo
(書籍)大泉書店 佐々木薫「心と体にやさしい手作りエコ石けんの教科書」
(書籍)文芸春秋 浅野さおり「やさしい石けんのつくりかた」
手作り石鹸[廃油石鹸]作り|ももこ暮らしを楽しむチャンネル
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