フードロスとは?家庭で食品廃棄を防ぐ秘訣は「もったいない」にあり!

日本の食卓

フードロスとは、本来ならば食べられる食品が捨てられてしまう問題のことで、例えばレストランなどで過剰に作られた料理が廃棄されてしまう状況が当てはまります。
家庭でも、賞味期限が切れた食品を廃棄するようなことがあれば、それはフードロスにカウントされます。

こうしたフードロスを解消するためには、わたしたち自身の意識を変えていくことが大切です。
といっても、いきなり修行僧のような生活にシフトする必要はなく、わたしたちの日常で無理なくできる取り組みを行ったり、賢く販売サービスを選んだりすることで、フードロス削減に貢献することができます。

この記事では、フードロスの問題点とその規模についてお伝えするとともに、削減に向けた販売サービスの選び方など、わたしたちの立場からスタートできる取り組みをご紹介します。

フードロスについて、どのくらい知っていますか?

フードロスという問題は、分かりやすい単語の響きもあって、どんな問題なのか比較的イメージしやすいと思います。
しかし、どのくらいの規模の問題なのか・問題を引き起こしているのは誰なのかを知ると、解決までには途方もない道のりに思えるかもしれません。

とはいえ、わたしたち一人ひとりが何らかの形で行動を起こさなければ、解決に至らないこともまた事実。
まずは、フードロスの現状を正しく理解することが大切です。

本来食べられるのに廃棄される食品のことをフードロスの他に「食品ロス」とも呼びます。
農林水産省では、不可食部を含む食品廃棄を「食品廃棄物」、可食部の廃棄を「食品ロス」と呼んで区別しています。また国連の専門期間「国際連合食糧農業機関」では食品廃棄物のことを「Food Loss and Waste」と呼んでいます。

日本では「フードロス」という言葉は、食べられるのに破棄されてしまう「食品ロス」と同じ意味で使われることが多く、流通段階で廃棄する場合は「事業系食品ロス」や「家庭系食品ロス」といった呼ばれ方をしています。
海外では言葉の解釈も若干異なります。例えば日本語の「フードロス」と英語の「Food Loss」では意味する内容が少し違うなどです。それぞれの概念は以下の図にまとめられています。
「日本もったいない食品センター」 食品ロスとフードロスから引用)
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本来食べられるのに捨てられる食品の量は「年間612万t」

農林水産省の推計値(2017年度)によると、日本の食品廃棄量等は年間2,550万tで、その中で本来食べられるはずなのに捨てられる食品の量(食品ロス)は、年間612万tとなっています。
これを日本人一人あたりに換算すると、1年で約48kg・毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てていることになります。

48kgともなれば冷蔵庫150~200L分の重さになり、もはや一人で持ち上げるのが難しいレベルです。(冷蔵庫の重さや重量は?またどのサイズや容量までなら運搬できるの?
それだけの食品が日々廃棄されていると考えると、非常にもったいない話ですよね。

事業でも、家庭内でも、毎日フードロスが生まれている

冷蔵庫の重さ・一人当たり毎日お茶碗一杯分と聞いて、それなら「自宅でご飯を残す量をお茶碗一杯分減らせばよい」と考えた人もいるかもしれません。
しかし、残念ながらフードロスという問題はそれほど単純なものではありません。
農林水産省は、フードロスを「食品ロス」として、以下の2つに分類しています。(日本もったいない食品センター 食品ロスとフードロス

・事業系食品ロス:事業活動を伴って発生する食品ロス
・家庭系食品ロス:各家庭から発生する食品ロス

また、先にお伝えした食品ロスの量「年間612万t」のうち、事業系・家庭系それぞれの内訳は、以下の通りとなっています。家庭系要因のロスが半数を占めています。

食品ロス内訳(万t)
事業系食品ロス3,280,000約54%
家庭系食品ロス2,840,000約46%

さらに、事業系の食品ロスについては、以下の4業種に分類されています。

事業系食品ロス内訳(万t)
食品製造業1,210,000約37%
食品卸売業160,000約5%
食品小売業640,000約20%
外食産業1,270,000約39%

食品を扱う複数の業種が、食品ロスを出さざるを得ない状況が見て取れます。
このことから、各家庭での自助努力だけでは、フードロスの問題を解消するのは難しいことが分かります。

食べ物が必要なところに行き届かない矛盾


一方で、「フードロス」という問題が世界規模で起こっていると聞くと、日本と同様に世界中で食べ残しが起こっているように連想する人もいると思います。
しかし、現実はより残酷なものです。

例えば日本など先進国と呼ばれる国々は、世界各国からたくさんの食材を輸入していますが、その輸入元の中には食糧不足で飢餓に陥っている人が暮らす国もあります。
貧困問題を抱えている国・国民の多くが農業従事者という国が、輸出国側のお腹(あるいは美食の欲求)を満たすために、自分たちのお腹をすかせているという一面は否定できません。

また、いわゆる開発途上国の場合、せっかく食べ物を作っても技術不足により収穫ができなかったり、流通環境・保存設備・加工施設などのインフラが整っていなかったりして、市場に出回る前に廃棄せざるを得ない状況に陥ることも珍しくないのです。

わたしたちの少しの心がけでフードロスを減らすことができる


国内外で起こっているフードロスですが、その原因は「わたしたちの食生活」が大きく影響していることがわかります。
わたしたち個人の立場から、食品を大切にする・食べられるものを粗末にしないようにすることが、フードロス削減につながることは間違いなさそうです。

例えば、自宅で食品を残さず食べる習慣が身に付けば、自分が普段どれだけの量を食べられるのか、イメージしやすくなるでしょう。
その結果、外食・中食を利用する場合でも、自分が必要な分だけ注文することができるようになりますから、間接的にフードロス防止につながります。

一方、食品を手に入れる段階でのちょっとした工夫や配慮からフードロス削減につなげる方法もあります。

続いては、販売物の選び方も含めて、わたしたちが普段の買い物でできる工夫をいくつかご紹介します。

賞味期限や消費期限の近いものから購入

普段買い物をする際に、わたしたちはどちらかというと「少しでも長持ちする商品」を探しがちで、賞味期限・消費期限をこまめにチェックする人も多いはずです。
逆に考えれば、これらの期限が残りわずかなものは、近い将来廃棄されてしまうおそれがあります。

もし、すでに毎日の献立が決まっていて、食材をどの順番で調理するか決まっているなら、あえて長めの期限をとって買い物する必要はないですよね。
このように、普段から何を食べ・どう調理するかスケジュールを立てておけば、賞味期限・消費期限にこだわらず商品を選ぶことができ、廃棄率を多少なりとも減少させることにつながります。

値引き商品を積極的に購入する

賞味期限・消費期限にこだわらない買い物は、消費者にもう一つのメリットをもたらしてくれます。
それは「値引き」の恩恵を受けられることです。

よく、スーパーなどで「おつとめ品」として別コーナーで売られている野菜を見ることがあると思います。
おつとめとは「特別に安くする」ことを意味した言葉ですが、こういった商品はたいてい賞味期限間近といったケースが多いものです。

ただ、その分値段が安く、元値の半額あるいはそれ以下という商品も見かけます。
仮に、毎日仕事帰りにスーパーによって、そこでおつとめ品だけを購入・調理して生活した場合、普段の食費の半額以下で過ごせることになります。

もし、値引き商品を見かけることがあったら、近々廃棄される可能性を想定して、積極的に購入するのもよい方法です。
経済的負担も減らせますから、まさに一石二鳥の方法と言えるでしょう。

ただし、消費期限に関しては記載された日付を過ぎると急激に品質が落ちていくため、期限を守るようにしましょう。

「もったいない」で防ぐフードロス


日本人が持つ、世界的に見ても希少なメンタリティの一つに「もったいない」があります。
日本人には、最寄りのバス停よりも少し前で降りて徒歩で通勤する、貯めたお湯に家族全員が入浴するなど、お金や資源を大切にする習慣が自然に身に付いており、これは世界的にも珍しい傾向といわれます。

一方で、このような傾向は年々薄れているものと考えられ、そのために日本でもフードロスが問題となっている現状は否定できません。
だからこそ、わたしたちは先人の知恵に学ぶことで、フードロスの削減を実現することができるかもしれません。

ちなみに、ここでの先人とは年配の方のみを指しているわけではなく、わたしたちよりも「ちょっとだけ先を行っている」人のことです。
もったいないという言葉の意味を正しく理解して、食材の調理を工夫できる人は、フードロス削減の観点から考えれば、もれなく先人として重宝すべき対象になるはずです。
その知恵を学ぶことは、きっとわたしたちの生活をより良いもの・楽しいものにしてくれることでしょう。

例えば、先人から学ぶ方法の一つとして、仙台市が運営する「モッタイナイキッチン」というサイトがあります。
サイト内で紹介されている「モッタイナイレシピ」は、普段捨てられる果物・野菜の皮を使ったり、出汁を取り終わったかつお節・煮干しを材料にしたりと、食べ物を余すところなく食べるための工夫が盛りだくさんです。

各種カテゴリ別にレシピを検索できるため、普段食べない部位の調理方法・冷蔵庫に残ったおかずの再利用を検討する上で参考になります。
例えば、KÖHARUBIYÖRIさんのレシピ「野菜の栄養まるごと!子供も大好き ♪ 簡単キッシュ」は、ピーマンの普段食べない部位を美味しく食べられる素敵なレシピですから、ぜひ一度チェックしてみてください。

おわりに

フードロスが深刻な問題であることをなんとなく知っていても、自分では解決できないと諦めたり、商品事業者の問題だと決めつけず、私達自身の日々の生活の中で行動を少しだけ変えることで、1日お茶碗一杯分捨てていた食品ロスの量を減らすことができる方法をご紹介しました。

コンビニやスーパーに行った時には棚の前列から買う、お買い物に行く前にはかならず冷蔵庫や食品庫をチェックする、残っている食材をリメイク・アレンジしてオリジナルの一品を作ることを気分転換にしてしまう、などから徐々に始めてみてはいかがでしょうか?

後編では、フードロス削減に取り組む事業者・販売サービスの探し方についてご紹介します。

<参考サイト>
農林水産省「食品ロス」とは
農林水産省 食品ロスの現状を知る
食品ロス(フードロス)とは?発生する原因や世界の現状、必要な対策とは
「おつとめ品」の意味と使い方・由来
TABETE 食品ロスを「おいしく」「お得に」
ecomaki_japan #地球を救うためにできる100のこと
消費者庁 フードロス|お買物編・ご家庭編

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