その雑草は食べられる!野菜より美味しいかもしれないサステナブルレシピ
スーパーで野菜を見ていると、時々「フキ」・「ゼンマイ」・「イタドリ」などの山菜を目にすることがあるのではないでしょうか。
これらの植物は、水煮など調理済みのものだけではなく、道路脇に生えているものを摘んで調理して食べることもできます。
道端に根を下ろす雑草たちは、都会化が進む中で次第に邪魔もの扱いされるようになりましたが、昔は貴重な食べ物の一つでした。
たとえば、春になると可愛らしい花を咲かせるタンポポたちも、調理すれば美味しく食べられるのです。(*1)
環境保護の観点から見ても、雑草を食べること・活用することには多大なメリットがあり、SDGsの目標達成にも貢献できる可能性を秘めています。
この記事では、主に「雑草を食べる」ことにフォーカスして、雑草の探し方や注意点、雑草料理のレシピなどをご紹介します。
(*1)WARAKUWEB|たんぽぽ食べたことある?身近で美味しい春、サラダにしちゃおうよ!
雑草を食べることは、サステナブルな選択肢かもしれない
わたしたち日本人にとって、食べられる野菜は基本的にお店で買うものになりつつありますが、自分で野菜を作ったり、野山で野草を摘んだりしている人も一定数存在しています。
一方で、道路沿いにある雑草を食べようと考えている人は、現代ではそれほど多くないように思えます。
しかし、雑草を採取して食べることは、わたしたちの社会にとってサステナブルな選択肢と言えるかもしれません。
以下に、その理由を3つに分けてご紹介します。
野菜と比べて手に入れやすい場合がある
猛暑・台風・豪雨・冷夏・暖冬・豪雪など、日本では異常気象が毎年のように報告されています。
野菜の価格は、そんな気候の変動に大きく影響されます。
毎年気候が安定していれば、出荷量や品質にバラつきが生まれることはありません。
しかし、例年と異なる気候変動に見舞われると、作物が十分に育たず数が少なくなり、なかなかお目当ての野菜が手に入りにくくなります。
ところが、雑草はわたしたちが世話をしなくても、場所を問わず成長してくれます。
道路脇の雑草なら、基本的に誰の所有物でもないため、いくらでも採取することができます。
農業・道路工事・公園整備などで邪魔ものになる雑草ですが、視点を変えて考えると「どこにでも生えている」わけですから、ある意味では野菜より探しやすいかもしれません。
採取の知識・調理方法さえ頭の中にあれば、誰でも・手軽に手に入れられるのです。
もちろん、時期によって見つかる植物は様々ですから、いつでも欲しいものが手に入るとは限りません。
よって、春夏秋冬の中でおいしい雑草を探す目利きは必要ですが、その技術を学ぶ価値は十分にあるはずです。
野菜よりコスパが良い
都市部では、ある日・週のキャベツ1玉が500円になるなど、タイミングによって野菜の価格が倍以上に変動することもあるようです。
このような状況だと、どうしても安価な野菜に手が伸びてしまいますよね。
雑草を食べるという発想がない人なら、野菜の値段が高ければ、いっそのこと「食べないようにしよう」とか「野菜ジュースでいいや」などと思うかもしれません。
しかし、このような考え方は、健康を維持する点において非常に危険です。
野菜不足になると、次第に体調を崩しやすくなり、将来的には糖尿病・がん・心臓病などの病気を招いてしまうおそれがあります。
その他にも、以下のような症状に悩まされるリスクがあります。
・食物繊維不足から腸内環境が悪化して、便秘や下痢になりやすくなる
・ビタミン不足から肌荒れ、頭皮のかゆみ、疲労感がおこる
・体内の活性酸素が増えて、免疫力が低下する
・体臭が強くなる
よって、定期的に野菜を食べることは、健康維持にとって重要なファクターと言えます。
価格が気になることがあっても、できるだけ野菜は食べるべきです。
とはいえ、あえて高い野菜を買うのが、あまり気乗りしない日もありますよね。
もし、諸々の理由から野菜を買うことがおっくうになったら、雑草を摘んで食べてみて欲しいと思います。
雑草は、山菜や野草に近い部類のものが都市部で見つかることもあり、種類によってはきちんと処理すれば野菜よりもおいしかったりします。
たとえば、アカザという雑草はホウレンソウの仲間で、やわらかい若葉をゆでておひたしにすれば、美味しく栄養をいただけます。
また、アカザはご飯に炊き込んで食べるのも美味で、種は佃煮にもできます。
こんな素敵なものがタダで見つかるなら、探さない手はありませんよね。
雑草は意外と栄養価が高い
©山菜図鑑
雑草は、基本的に野菜のような品種改良が行われることがないため、天然の栄養素がギュッとつまっています。
先ほどご紹介したアカザは、ホウレンソウの仲間ということもあって、ビタミン類が豊富といわれています。
他にも栄養価が高くて美味しい雑草は多く、地域によっては雑草扱いせず積極的に食べられているものもあります。
一例として、知る人ぞ知る美味しい雑草の一つに「スベリヒユ」があります。
こちらは多くの場合、雑草として捨てられているものですが、一部の地域では美味しく料理されています。
畑作では邪魔な雑草の一種であり、茎は赤紫色でお世辞にもおいしそうには見えませんが、これが食べるとホントに美味!
茹でてから包丁で切ると粘り気が出て、オクラ・昆布のように使えますから、ご飯のおともにピッタリです。(*2)
少量で、ビタミンA・C・マグネシウム・カリウム・鉄・オメガ3脂肪酸など、幅広い栄養素・ミネラルを摂取することができます。(*3)
食べ方は色々で、サラダやみそ汁の具としても活躍してくれますし、エグみが気になる人は炒め物にしてもよいでしょう。
こんなにステキな雑草が捨てられている地域が多いなんて、本当にもったいない!
もし、スベリヒユを探したいと思ったら、試しに近所の原っぱや道路脇などをチェックしてみると、意外と色々なところに生えていて驚くはずです。
(*2)Cookpad|スベリヒユのだし
(*3)werywellft|Purslane Nutrition Facts and Health Benefits
Jutrition and |Purslane Nutrition facts
食べられる雑草を探すことは、思っているより難しくない
雑草を摘むこと・食べることにはたくさんのメリットがある反面、初めて雑草を摘む人にとってはハードルが高く感じられるのではないでしょうか。
おそらく、以下のようなポイントで、多くの初心者は知識が不足していると思われます。
・どんな雑草があるのか
・その中のどれが食べられるのか
・どんな下ごしらえ、調理法がよいのか
そこで役に立つのが、雑草・野草に詳しい人がまとめた書籍・データです。
以下に、雑草探しで役に立つツールと、雑草を摘む際の注意点をお伝えします。
野草図鑑などを頼る
街中の雑草だけでなく、畑の近くや山の中にある野草の中にも、食べられるものはたくさんあります。
そんな野草・雑草に関する知識をまとめた図鑑は、書店や通販サイトなどでいくつか見つけることができます。
純粋に野草・雑草を紹介する趣旨の図鑑も見つかりますが、中には野草料理・食べられる野草の見分け方などを紹介しているものもあります。
1冊あると、採ってきた草を確認する際に役立つはずです。
もし、これから野草図鑑を探すのであれば、以下の本がおすすめです。
『雑草手帳:散歩が楽しくなる』
©稲垣 栄洋
道端を歩いていて気になる雑草を確認できるような、ハンディタイプの手帳です。
標本写真を見ながら、葉っぱの細かい部分もチェックできるため、散策中も好奇心をそのままにせずに済みます。
雑草に関する雑学も豊富なため、まず雑草を見て確かめたい人におすすめです。
『食べる野草図鑑』
©岡田 恭子
都会で採取できる野草について、摘める時期・場所・摘み方だけでなく、レシピも含めて丁寧に解説している図鑑です。
お好み焼きやペペロンチーノなどの馴染み深いものから、チーズグラタン・ヨーグルトパイなど手の込んだものまで、メニューの数はなんと105種類!
春から秋まで色々な味を楽しめます。
アプリで検索する
本を読みながら知識を蓄えていくのも楽しいですが、見つけた雑草についてすぐに知りたい時は、やっぱりスマホが便利ですよね。
スマホで情報を確認したいなら、スマホアプリが便利です。
『シンプル植物リスト-雑草編-』Google Play
©macchisoft
身近な野草・雑草にフォーカスした図鑑アプリです。
花や葉っぱ・実などの写真に加えて、見分けるポイントについても確認ができます。
無料で使えるので、気軽に雑草探しを楽しみたい人におすすめです。
『プラントネット (PlantNet) 植物図鑑アプリ』Google Play
©Pl@ntNet
2万種の植物を識別できるアプリです。
多くのユーザーがデータを現在進行形で集めているため、その分情報量は豊富です。
ただし、和名表記ではないため、その点が面倒に感じるというレビューもあるようです。
同定できないものは避ける
自分が見ている植物が、図鑑などの情報と照らし合わせて正しいかどうか確認することを「同定」といいます。
これができないと、場合によっては毒草を食べてしまう可能性があるため、できる限り丁寧に雑草を判別しましょう。
一例をあげると、イヌサフランという雑草は猛毒を持っているのですが、ギョウジャニンニクの葉やタマネギの球根と間違えて食べてしまうケースが報告されています。
一つ間違えば死に至るリスクがありますから、自信のないものは絶対に手を出さないようにしてください。
雑草を摘む際の注意点
雑草は、基本的に街中で摘んでも罰せられる可能性は低いものですが、私有地などに足を踏み入れてしまうとトラブルに発展してしまうかもしれません。
続いては、実際に雑草を摘む際の注意点について、いくつかご紹介します。
私有地でなければ、雑草の採取は問題ない
人の家の庭・農場の中などに足を踏み入れて雑草を採取することは、居住者・管理者に確認を取らなければなりません。
しかし、公道上に自生している雑草を採取する場合、それが大麻などの違法な植物でない限り、罰せられることはありません。
実際に採取する際は、現在雑草を摘もうとしている区域が「私有地でないかどうか」を確認してからにしましょう。
公園や河川敷は管理状態による
雑草を探していると、公園や河川敷に迷い込んでしまうこともあるでしょう。
この時、のびのびと雑草が生えていると、ついつい摘んでしまうがちですよね。
しかし、管理状況によっては、雑草の駆除薬がまかれていたり、雑草の採取が禁じられていたりする場合があります。
よって、公園・河川敷で採取する場合は、雑草の生え具合・注意書きの看板などをチェックしてから行ってください。
採取はOKだが、栽培はNG
一部の河川敷では、まるで家庭菜園のように作物が栽培されているところがあります。
しかし、このような栽培は基本的に「不法耕作」とされ、特別の許可を得ていない限り犯罪です。
公道でも同様で、好きな雑草を育てようとして種をまくと、住民や自動車の迷惑になります。
あくまでも、自然に生えている雑草だけを採取しましょう。
雑草・野草を使ったレシピ
雑草を食べることのメリットや、食べられる雑草の探し方などについて理解を深めたところで、いよいよ雑草・野草を使ったレシピをご紹介します。
いずれもかんたんに作れて美味しいものばかりですから、ぜひ作ってみてくださいね!
ノコギリソウのヨーグルトサラダ
【材料】
・ノコギリソウ 少々(雑草)
・キュウリ 1本
・塩 1つまみ
・こしょう 少々
・ヨーグルト 大さじ1
・おろしにんにく お好み
【つくりかた】
1. ノコギリソウをよく水洗いして、食べやすい大きさに切る
2. キュウリを輪切りにする
3. 切ったノコギリソウとキュウリをボウルに入れ、塩こしょう・おろしにんにくを入れて混ぜる
4. ヨーグルトを上からあえる
5. ノコギリソウの葉を1枚上に乗せて、完成!
【お味】
ノコギリソウはゴーヤのような苦みがあるのですが、ヨーグルトの酸味がノコギリソウの苦みをやわらげてくれます。
パンと一緒に食べると苦みが軽減しますし、ミートボールなどと合わせても美味です。
タンポポの天ぷら
【材料】
・タンポポの花 10~12輪(雑草)
・マヨネーズ 大さじ1/2
・水 大さじ3杯半
・小麦粉 大さじ3
・植物油 大さじ3~適量
【つくりかた】
1. タンポポの花の部分を水につけておき、汚れを落とす(30分ほど)
2. マヨネーズ・水・小麦粉を混ぜて衣を作る
3. タンポポの花を衣にくぐらせ、フライパンにしいた油で揚げる
4. 軽く焦げ目がついたら油から引き上げ、お皿に盛って、完成!
【お味】
塩をかけて食べると非常に美味です。
小ささのわりに、食べるとボリュームを感じます。
ヒメナとタンポポの葉のごま味噌和え
【材料】
・タンポポの葉 少々(雑草)
・ヨメナ 少々(雑草)
・いりごま 大さじ1
・みそ 小さじ1
・みりん 小さじ2
【つくりかた】
1. 鍋にお湯を沸かして、タンポポの葉とヨメナをさっとゆでる
2. ゆで終わったら水にさらしてしぼり、食べやすい大きさに切る
3. いりごまをすり鉢ですってから、みそとみりんを混ぜる
4. ゆでたタンポポの葉・ヨメナを、すり鉢の中のものとあえて、完成!
【お味】
和風の味わいで食べやすく、みその味がごはんに合います。
イタドリとレモンのシロップ煮
【材料】
・イタドリ 2本ほど(雑草)
・砂糖 50g
・水 100cc
・レモン 輪切り2枚
※(ヨーグルトはお好みで)
【つくりかた】
1. 採取したイタドリの茎の皮をむいて、お湯でさっとゆでた後、ボウルに入れた水に1日漬ける
※(アク抜きのため)
2. 1日たったイタドリを取り出し、ななめ切りにする
3. レモンを輪切りにする
4. 鍋に水・砂糖・輪切りしたレモン・ななめ切りしたイタドリを入れて、火にかけてひと煮たちさせたら火を止める
※(火を止めて、イタドリに味をしみ込ませる)
5. タッパーなどに移したら、お好きなものにかけて食べましょう!
【お味】
ヨーグルトにかけて食べると、レモンの香りが食欲をそそります。
イタドリはほどよいシャキシャキ感で、スイーツとして楽しめます。
おわりに
以上、サステナブルな暮らしの観点から、雑草を食べるメリット、雑草の探し方・食べ方についてお伝えしてきました。
雑草は、摘み方や調理方法を知っていれば、たちまち美味しい料理に早変わりします。
今回ご紹介したレシピが、あなたが町で見つけた雑草を美味しく食べるためのヒントになれば幸いです。
[著者紹介]
TMG4 (Taskwell代表 ライター)
10年以上の企業経理の実務経験を持つ、北海道在住のプロフェッショナルライター。
経験した業種は自動車販売業から農業まで様々。
農業法人にて経理に携わるかたわら、無農薬栽培の研修を受けたことで、雑草の活用法に興味を持つ。
現在は個人事業主として独立し、夫婦でスキルマーケット「ココナラ」を中心に活動中。
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